本稿では,ASR補修工法のうちリチウムイオン内部圧入工に着目し,まずASR劣化が顕在化したコンクリート供試体に亜硝酸リチウムを内部圧入することにより,以後のASR膨張が抑制されることを明らかにした。次いで,亜硝酸リチウムを内部圧入したコンクリート供試体を切断して呈色反応試験を行うことにより,内部圧入工によるコンクリート中のリチウムイオンの浸透状況を確認した。さらに,亜硝酸リチウムを内部圧入した供試体からアルカリシリカゲル(以下,ゲルと称す)試料を採取し,ゲル中のリチウムイオン分布の画像マッピングを行うことにより,内部圧入工により浸透させたリチウムイオンがゲル中に到達していることを明らかにした。