2021 年 59 巻 6 号 p. 502-510
筆者らは,鉄道高架橋柱の耐震補強工事の生産性向上を目的とし,新しい耐震補強工法を開発した。開発した工法は,プレキャストパネルを分割された補強鋼板とボルトを用いて既設柱の周囲に配置し,既設柱との隙間に高強度繊維補強モルタルを充填するものである。本工法を構成する高強度繊維補強モルタルは,橋梁等での使用を想定した指針が整備されているが,耐震補強工事に用いた事例は少なく,合理的な耐震補強設計手法を構築することが必要であった。本稿では,開発時に実施したせん断耐荷特性および変形性能に関する載荷試験について記載するとともに,高強度繊維補強モルタルを考慮した部材性能の算定式について紹介する。