2018年11月に準天頂衛星システム(みちびき)によるサービスが国内で開始され,その有効な利活用が各分野で展開されつつある。そのような背景の下,衛星情報の建築構造分野への利活用方法として,数年に及ぶ長期間の建物変形計測と地震のような建物の動的応答変形計測の2種類に着目し,使用する衛星情報として全球測位衛星システム(GNSS)測位による変位の計測手法を用いている。本稿では筆者らがこれまでに取り組んできた計測手法やその計測システムから得られた結果の概要を紹介し,得られた知見とともに今後の展開について述べる。