コンクリート工学
Online ISSN : 2186-2753
Print ISSN : 0387-1061
ISSN-L : 0387-1061
セメント化学のシーズとニーズ
近藤 連一
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 17 巻 2 号 p. 1-11

詳細
抄録

土木建築材料が化学の成果を一層とり入れ発展されることを願い, 著者らの研究室を含めセメント化学の分野で得られた成果のうち, コンクリートの厳しいニーズに応じられるかと予想されるシーズについて述べた。省資源, 省エネルギー, 環境問題のからみでセメントは大きな変貌を遂げようとしており, 従来のセメントには次第にスラグや石こうが配合されるようになり, それがむしろ標準として受け入れられるようになろう。ボルトランドセメントは原料の転換で省エネルギーを達するとともにマグネシウム, バナジウムその他付加価値の高い成分の副生が行われ得る。超速硬, 高強度セメントや混和剤の使用がふえ, 高硫酸塩スラグセメントや石こうはボルトランドセメントのライフサイクルさえ左右するようになろう。また超高強度製品は炭酸化によって容易にされる可能性がある。一方セメントはエネルギーの獲得にも関係し, 超深度オイル, 高圧ガス, 高温のジェオサーマル等の井戸, 原子炉の事故に耐える耐熱性を考慮した研究等が進められている。

著者関連情報
© 公益社団法人 日本コンクリート工学会
次の記事
feedback
Top