旧法務省本館, 通称「赤れんが棟」はドイツから招いたエンデ&ベックマンによって設計され, 1895年 (明治28年) に竣工したものである。第2次世界大戦の東京大空襲により大きな被害を受けたため, 創建当時とは大幅に意匠を変更して復旧され, 現在に至っていた。今回の保存・改修工事では, 既存の屋根, 木造床などを撤去した後, 鉄筋コンクリート床を新設するなど各種の構造補強をして現存するれんが躯体を構造体として利用した。また, 軒蛇腹, フリーズ窓飾り石等にはPC擬石を用いて創建当時の外観に復原した。ここでは, 当工事を進めながら行われた各種調査結果, およびPC擬石を用いた外観の復原について報告する。