原子衝突学会誌しょうとつ
Online ISSN : 2436-1070
(第16回若手奨励賞受賞研究)分子から発生する高次高調波の研究
加藤 康作
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2015 年 12 巻 6 号 p. 195-204

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抄録

分子に強いレーザー光を照射して発生する高次高波長は,その解析から分子の電子状態の情報が高い空間・時間分解能で得ることができることから近年盛んに研究が行われている.本稿では私たちがこれまでに行ってきた,以下の二つの研究を紹介する.(1)配列した分子から発生する高次高波長の,分子の配列方向に対する依存性を,光パラメトリック増幅器から出る波長1300nmのパルスを基本波として調べた.CO2分子から発生する高次高波長はN2やO2と異なり基本波の偏光が分子の向きと平行なときに強度が弱まることが波長800nmの光を基本波とした場合について報告されていたが,より高波長な波長1300nmの光を基本波としても同様の現象が起こることが確かめられた.(2)高次高波長のイオン化限界近傍における振る舞いを調べるため,隣り合う次数間の位相差を調べる装置を開発した.この装置によりArとN2から発生する高次高調波を測定して比較したところ,11次と13次の位相差に有意な違いが現れた.考えられる原因として,クーロンポテンシャルの形状の違いの影響を検討した.

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© 2015 原子衝突学会
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