原子衝突学会誌しょうとつ
Online ISSN : 2436-1070
(第18回若手奨励賞受賞研究)反陽子の基礎物理量の高精度測定
長濱 弘季
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2018 年 15 巻 5 号 p. 91-

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抄録

素粒子物理の標準理論が有する根源的な対称性の一つに、CPT対称性がある。CPT対称性によると、物質と反物質の基礎物理量の絶対値は等しくなければならない。一方で、我々の宇宙が137億年前にビッグバンにより誕生した際、同量の物質と反物質が生成したと考えられているが、現在の宇宙を見渡す限り、物質に満ちており、反物質はほとんど存在しない。これは、現代物理が抱える大きな謎の一つである。本研究では、反陽子の基礎物理量である質量電荷比と磁気モーメントを世界最高精度で測定し、それらを陽子の値と比較することで、CPT対称性の厳密なテストを行った。そして、到達した測定精度で、陽子と反陽子の対称性が保たれているかどうかを確認した。

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