抄録
静電型イオン蓄積リング(TMU E-ring)と分光学的な手法を組み合わせて,等核2原子分子であるC2-とSi2-の実験を行った.C2-ではX2Σg+→B2Σu+の電子脱離励起スペクトルから基底状態X2Σg+の振動・回転状態を識別し,X2Σg+↔A2Πu遷移に伴う各振動状態の振動緩和の時定数を定量的に評価した.Si2-では時定数約10μsの遅延電子脱離過程を観測し,直接電子脱離に埋もれたB2Σu+に関する知見を得た.さらに,得られた遅延電子脱離過程の時定数は回転準位に依存しないことも明らかにした.本解説ではこれらの研究成果について紹介する.