周期ポテンシャル中の運動によって引き起こされる原子の内部状態の共鳴遷移現象を,低速の原子に対して研究している.速度1km/s程度のルビジウム原子ビームを周期1mm程度の周期磁場に通すことによって,周波数1MHz程度の原子スピン磁気共鳴遷移を引き起こした.この実験は,従来のコヒーレント共鳴励起実験の低エネルギー領域への拡張と見なすことができる.この実験系を用いて,原子と周期場の相互作用時間で原理的に決まる広がりとほぼ同じ幅を持つ鋭い共鳴線を得ることができた.さらに,原子スピンのコヒーレントな制御を実証することもできた.