カウンセリング研究
Online ISSN : 2186-4594
Print ISSN : 0914-8337
ISSN-L : 0914-8337
原著
青年期後期から成人期初期における女性の心理的発達
―母娘関係が心理的健康に及ぼす影響―
藤原 あやの伊藤 裕子
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 43 巻 1 号 p. 33-42

詳細
抄録

本研究は,青年期後期から子育て期における女性の心理的健康とそこにおける母娘関係のあり方との関連を明らかにすることを目的とし,大学生,未婚の社会人,幼児をもつ母親の3群に質問が尋ねられた。心理的健康をとらえる尺度として,「人格的成長」「人生における目的」「自律性」「自己受容」「環境制御力」「積極的な他者関係」の6因子が抽出された。次に,母娘関係(「母への支え」「過去の対立・葛藤」「母の支配」「母への信頼」「母への依存」の5因子)が,心理的健康にどのように影響を及ぼしているのかを明らかにするために重回帰分析を行った結果,以下の点が明らかとなった。(1)青年期群では,「母への信頼」が心理的健康の6因子すべてに正の関連をもち,特に「自己受容」と「積極的な他者関係」で強い規定力を示した。「母への依存」は,6因子すべてに負の関連がみられた。(2)未婚群では,青年期群に比べ,母娘関係の各側面が心理的健康に関連することが減少した。しかし,「母への依存」は,青年期群に比べ全般に規定力が上昇し,負の関連が強まった。(3)子育て群では,母娘関係の心理的健康への関連はさらに減少した。

著者関連情報
© 2010 日本カウンセリング学会
前の記事 次の記事
feedback
Top