カウンセリング研究
Online ISSN : 2186-4594
Print ISSN : 0914-8337
ISSN-L : 0914-8337
最新号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
資料
  • 青木 ケイ, 菅原 大地
    原稿種別: 資料
    2025 年58 巻2 号 p. 67-77
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/07/22
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,大学生を対象に,友人から悩みを相談された際のファーストエイド方略と情緒的巻き込まれの恐れについて,友人の状態とその識別による違いを検討することであった。大学生160名を対象に質問紙調査を行い,うつ病,統合失調症,学業不振の3つの事例について,事例の識別,ファーストエイド方略の実行意図,情緒的巻き込まれの恐れについて尋ねた。事例を要因とした分散分析の結果,推奨方略の実行意図は,うつ病事例と統合失調症事例で学業不振事例よりも有意に高かった。非推奨方略の実行意図には,事例による有意差はみられなかった。情緒的巻き込まれの恐れは,統合失調症事例で他の2つの事例より有意に高かった。事例識別の正誤によるt検定の結果,うつ病事例を正しく識別した者の推奨方略の実行意図は,そうでない者より有意に高かった。統合失調症事例を正しく識別した者の非推奨方略の実行意図は,そうでない者より有意に低かった。本研究の結果から,友人の状態に応じて,大学生の対応や喚起される感情には差があることが明らかになった。最後に,本研究に基づき,より有効性を高めるためのメンタルヘルス・ファーストエイド教育について考察した。

  • 藤本 賀彦, 飯田 順子
    原稿種別: 資料
    2025 年58 巻2 号 p. 79-91
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/07/22
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,非行の子どもと向き合う自助グループに通所経験をもつ親の体験プロセスを明らかにして,親の心理的変容プロセスについての仮説モデルを生成し,支援について検討することである。本研究では,非行の子どもと長期に向き合った10名の親を対象に半構造化面接を実施した。面接で得られた逐語記録を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析し,26概念,8カテゴリー,6カテゴリーグループが抽出された。その結果,非行が始まり落ち着くまでの間,親は『非行を止めようと奔走』→『振り回され,自らを責め,孤立化』→『視野の広がり』→『子どもを受容』の体験プロセスを経ていることが示された。そのプロセスは,『新たな出会い』の中で展開していた。また,親は『新たな出会い』に支えられ,新たな社会と関わりをもち相互作用が生まれることにより,『親であること』の心理的意味が変容し,自己を受容し子どもを受容できるようになることが示唆された。非行の子どもをもつ親の支援については,学習会などで非行に関する知見を広げ,問題を分ち合い,ともに語り・聴き,一緒に考えてくれる人たちとの出会いが有効であることが示唆された。

  • 尾上 豊明, 小岩 広平, 若島 孔文
    原稿種別: 資料
    2025 年58 巻2 号 p. 93-104
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/07/22
    ジャーナル フリー

    近年,スクールカウンセラーが学校現場においてチームの一員として機能し,教員との連携を進めていくことが求められている。先行研究では,スクールカウンセラーの積極的行動が連携促進に有効であることが示されている。しかし,スクールカウンセラーが積極的行動を取るための促進要因や阻害要因は,明らかにされていない。そこで本研究では,連携促進に有効な積極的行動のひとつとして,校内ケース会議においてスクールカウンセラーが意見を言うことについて検討した。スクールカウンセラー95名に,校内ケース会議全般で意見を言う程度,同調圧力を受けやすいと考えられる状況および受けにくいと考えられる状況で意見を言う程度,業務に関する自己効力感,意見を言えない理由および言える理由について尋ねた。その結果,同調圧力を受けやすい状況は阻害要因であるとはいえなかった。業務に関する自己効力感は促進要因であった。業務に関する自己効力感の高さはSC自身の内的な理由を回答することと関連していた。以上の結果から,スクールカウンセラーの役割意識や,校内ケース会議で意見を言うことの判断について考察した。

展望
  • 永井 智, 木村 真人, 本田 真大, 飯田 敏晴, 水野 治久
    原稿種別: 展望
    2025 年58 巻2 号 p. 105-123
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/07/22
    ジャーナル フリー

    本研究では,Preferred Reporting Items for Systematic reviews and Meta-Analyses(PRISMA)Statement に基づき,援助要請意図・態度と援助要請における結果予期との関連を概観することを目的とした。対象となったのは,CiNiiの検索およびハンドサーチによって得られた40の論文に含まれる研究42件であった。おもな結果は以下の通りである。(1)援助要請実行の利益はほとんどの研究で援助要請意図と正の関連が報告されている。(2)援助要請実行のコストは,半数以上の分析で援助要請意図との間に有意な負の関連を示さない。(3)特に,援助要請実行の利益による関連を統制すると,援助要請実行のコストと援助要請意図との関連はほとんどみられなくなる。このことは援助要請の促進を図る際に,援助要請実行の利益に注目することの重要性を示唆する。一方,援助要請態度については,援助要請実行の利益・コストとの単相関が検討されるのみであり,研究数も十分ではなかった。最後に,各論文のバイアスリスクが報告され,妥当性の報告された尺度を用いた研究の蓄積の必要性が指摘された。

feedback
Top