2010 年 43 巻 1 号 p. 61-71
本研究では,「キャリア探索の停滞」「所属組織からの低い評価」「友人・知人のキャリアとの上方比較」「ワークライフバランスの欠如」というキャリア焦燥感喚起状況がキャリア焦燥感を介して離転職意思へとつながるという仮説モデルに従い,年代別に検討した。20代,30代,40代のホワイトカラー1,787名を対象にインターネット調査を実施し,多母集団同時分析を行った。その結果,(1)20代は,「キャリア探索の停滞」や「友人・知人のキャリアとの上方比較」がキャリア焦燥感を強く感じさせ,離転職意思に結びついていること,(2)30代は,「キャリア探索の停滞」がキャリア焦燥感を介して離転職意思を促していること,(3)40代は,「キャリア探索の停滞」や「所属組織からの低い評価」がキャリア焦燥感を強く抱かせ,結果として離転職意思を促していること,(4)キャリア焦燥感と離転職意思との関係に男女差はなかったことが明らかになった。