抄録
場面緘黙および不登校の中学生男子に対して,親を介したシステム論的課題設定による介入を行った結果,親に対するバーバル・コミュニケーションの増加がみられたため報告する。本人は初回以降の来談はなく,親を介した課題設定を行った。親子でキャッチボールをする課題では親子の関係性が改善され,また携帯電話のやりとりをする課題をきっかけにして,親子間のメールのやりとりがみられるようになった。さらに,親子で美術館めぐりをする課題では親子の会話が増え,高校への進学意欲が動機づけとなり中学校への登校が始まった。本事例の介入方法として行ったシステム論的課題設定とは,システム理論を基盤にし介入課題に重点をおいたアプローチである。また,本人の関係者を介した間接的介入であり,本人や本人の関係者にとってなじみやすい課題内容を,生活リズムに合わせたタイミングで提示をする点が特徴である。この介入が目指していることは,本人と本人の関係者との良い循環が拡大し,システムの変化とともに問題が解消するといったことである。このようなアプローチは,問題を抱えている本人の関係者に対する面接において,有効な介入技法であると考えられる。