本研究の目的は,青年期の子どもからみて,自分が家庭内で担っている役割を測定する尺度を作成し,その担っている役割と家族機能との関連について検討することであった。特に,役割は役割期待と役割行動の両側面に着目した。429名の大学生を対象に質問紙調査を実施したところ,家庭内の役割として「親的役割」と「子役割」の2因子が見いだされた。各因子の内的整合性と質問紙の妥当性の検討を行ったところ,十分な内的整合性と妥当性があることが確認された。また,親的役割・子役割それぞれについて,役割期待の得点と役割行動の得点を比較したところ,親的役割においては期待と行動の間に有意な差はみられなかったが,子役割において有意な差がみられた。さらに,親的役割・子役割のどちらにおいても,期待されるほど役割行動がなされない場合,家族機能は低下することが示された。