都市計画論文集
Print ISSN : 1348-284X
第37回学術研究論文発表会
セッションID: 46_1-II
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日本型ABCポリシーを想定した通勤自動車の削減効果に関する研究
*村岡 洋成森本 章倫浅野 光行
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抄録

モータリゼーションの進展により、自動車利用が急増し、多くの都市問題が発生している。都市交通計画の分野においても、年々増加しつつある運輸部門のエネルギー消費の増大や環境悪化の問題に取り組むことが急務となっている。このような背景のもと、本研究は、オランダで実施されているABCポリシー型の事業所立地誘導施策の有効性を、(1)鉄道駅と事業所の近接化による自動車分担率の削減効果、(2)自動車分担率を削減することが可能な立地の存在範囲、の二つの要素から検討することを目的としている。
まず、自動車利用の削減を意図した土地利用施策について整理し、事業所の立地誘導施策によって自動車利用を削減するために必要な条件を明らかにした。次に、ケーススタディとして、静岡県西遠都市圏における自動車分担率と事業所の立地条件との関係性を分析し、事業所に集中する通勤交通の自動車分担率モデルを構築した。自動車分担率に影響を与える要因を抽出した上で、事業所立地誘導施策の方針を検討した。
分析結果より、自動車依存の高い西遠都市圏でも、事業所の立地条件と自動車分担率の関係が認められ、立地誘導による自動車交通削減効果が期待できるが、自動車分担率を抑制できる地域はごく僅かであった。立地誘導施策と駐車場容量制限の組合わせによる自動車分担率抑制効果も確認され、自動車削減のためには立地誘導施策と交通施策とのパッケージングが重要であることが明らかになった。

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© 2002 公益社団法人 日本都市計画学会
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