都市計画論文集
Print ISSN : 1348-284X
第38回学術研究論文発表会
セッションID: 37
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意思決定プロセスにおけるアクターの役割
NIMBY施設立地問題におけるハイブリッド型住民参加の可能性
*馬場 健司
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抄録

NIMBY施設立地に係わる意思決定プロセスにおいて住民参加を効果的に実施するための重要な要件として,潜在的な住民の洗い出し,関与レベルの設定,住民参加テクニックの選択という一連の手順において,公平性の基準を満たすことが挙げられる.インタビュー調査と文献調査の結果より,欧州で適用実績のあるハイブリッド型住民参加は,意思決定プロセスの進展と共に関与レベルとアクターを変化させ,各アクターが相互補完的な役割を果たすよう設計された手法であることを示した.更に,その日本での適用可能性について,一般市民に対する意識調査データの分析より以下の点を示した.第1に,地域内で意思決定が可能か否かによって潜在的参加層などのシェアは変わってくること,第2に,意思決定プロセスにおける公平性の基準としては代表性が重視されるが,関与意向を持つ層は参加の実際的な手続きに係わる基準を特に重視すること,第3に,現段階では市民パネルや市民諮問委員会による検討結果よりは,住民投票や専門家委員会の検討結果が受容され得ることである.

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© 2003 公益社団法人 日本都市計画学会
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