都市計画論文集
Print ISSN : 1348-284X
第39回学術研究論文発表会
セッションID: 51
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スウェーデンの分権化された都市計画における国の関与の実態
EU加盟が与えた影響とその要因分析を通じて
*松本 忠大西 隆
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抄録

 本研究では、1980年代以降、分権化とともに国の関与のあり方が大きく変化したスウェーデンの事例を分析し、都市計画における国の関与の実態と1995年のEU加盟以後の国の関与のあり方の変化について論じ、併せて、我が国の都市計画における今後の国の関与のあり方を考察する。 主な知見は以下のとおりである。(1)スウェーデンでは、ガイドラインによる誘導手法はあまり用いられず、国の関与の視点は法令で明確に定められている。「国の利害」の範囲が具体的、即地的に定められることが特色である。(2)個別計画策定プロセスにおける事前の関与は小さく、代わりにコミューンの「独走」を防ぐ事後関与の仕組みが充実している。(3)EU加盟以後、環境政策、地域政策、インフラ整備などの分野で国の役割が増大し、コミューンへの関与を強めつつある。一方で、一層の分権化や国の関与の縮小を志向する動きも見られる。(4)直面する課題として、国とコミューンの計画調整手法、地域レベルの組織に対する国の関与のあり方、計画決定プロセスの効率性と国の関与とのバランスがあげられる。

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© 2004 公益社団法人 日本都市計画学会
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