平成10年度に旧建設省の施策として「高齢者向け優良賃貸住宅制度」が創設され、平成13年度には「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づく制度として位置づけられた。本研究は、都市基盤整備公団中部支社が管理する改良型高優賃に居住する世帯を対象に実施したアンケート調査をもとに、居住者の属性と入居までの経緯の分析を行い、公団の高優賃が実際に果たしている役割を明らかにすることを目的とした。分析の結果、公団の高齢者向け優良賃貸住宅は、団地内に住んでいて高齢者向けの住宅への転居を希望する世帯、団地の周辺の民営借家に住んでいて居住状況を改善したい世帯、持ち家に住んでいて子供と近居または別居を希望する世帯の受け皿になっていること等が明らかになった。