本研究の目的は、代表的な歴史自然観光地でもある茨城県水戸市偕楽園を事例として、まず健常者・軽度歩行困難者・車いす利用者における観光資源保全とバリアフリー整備のトレードオフ意識を明らかにし、次いでこれを基に今後のバリアフリー整備検討手順を提案することである。具体的には、意思決定手法の1つであるAHP(階層分析法)を適用して、偕楽園のバリアフリー整備実施においてどのような点を重要視しているかという評価項目の重要度を明らかにするとともに、健常者と障害者といった立場の違いによる評価構造を比較分析し、今後のバリアフリー整備検討手順を提示した。