本研究は、唐津市旧城下町地区を対象に城下町建設当時の山アテ景観構造に着目し、それが今日どのような要因により阻害されているかを明らかにし、それら阻害要因が発生した経緯の類型化を行い、さらに山アテ景観を阻害する要因の発生を抑制するには今後どのような取組みが必要となるかについて考察をおこなうことを目的としている。 現地調査により唐津市旧城下町地区の多くの街路で周辺に分布する地物に対しての山アテが存在すること、またそれらの多くが近代以降の都市形成の過程で阻害されていることを確認することができた。 これらの山アテ景観の保全には現行の高度地区のみでは不十分であり、今後個々の山アテ景観について個別に規制の詳細を設定する必要があるのに加えて、規制の導入について市民の合意を得る必要がある。