抄録
サステナブルな都市の実現へ向けコンパクトシティに対する関心が高まっているが,コンパクトシティの効果の定量化については研究途上にある.また,限りある財源の集中的かつ効率的な投資のためには,都市の方向性や政策を立案する段階で費用便益を考えていくことが必要である.本研究では,コンパクトシティの効果を貨幣単位で定量化する手法を構築し,コンパクトシティ政策を費用と便益の両面から定量的に分析できる手法を開発することを目的としている.まず,環境会計を援用し,コンパクトシティの形成にかかる費用と効果を分析するための会計システム(都市形成会計システム)を構築し,システムに基づいて費用と効果を定量化する指標を開発した.次に,構築したシステムを仮想都市モデルと実在の都市に適用したところ,人口増減及び人口減少化における人口配分や土地利用の異なる土地利用モデルの費用便益を定量的に示すことができた.また,仮想都市モデルと実在の都市でのシステムの検証を通じてシステムの課題を明らかにすることができた.