本研究は近年その活動が活発とされているボロブドゥール区レベルで設立された市民組織間関係を把握し、さらに広域になる区レベルの文化的景観保全における各組織の役割を確認することを目的とする。結論は次の通りである:1)タイムライン分析と組織間関係のマッピングによって、各期の組織間関係が異なることがわかった。とくに、3期において関係が最も複雑化し、区レベルの組織と農村集落がつながるようになり、4期では市民組織の数が減り、組織関係はシンプルになるもののつながりは継続していたという経過がわかった。2)市民組織は区レベルの景観保全イニシアチブの役割を果たし、3期以降に設立された市民組織は観光に関する役割より、村おこし、環境改善やコミュニティの強化などの役割のほうが多いことがわかった。