近年、「路地」に対する注目や関心が高まってきている。密集市街地には、植栽のあふれ出しや地域交流の場となる等「路地」的要素をもった狭隘道路が多く存在し、地域社会の持続性を確保する上で重要な役割を果たしている。しかし、多くの密集市街地では、狭隘道路は災害時に道路閉塞を引き起こす可能性が高いために排除すべきと考えられ、拡幅を基本とした整備が行われている。そこで、本研究では密集市街地における「路地を活かしたまちづくり」の導入の可能性について検討することを目的に、路地を活かすための制度の今後の方向性、及び路地を活かしながら防災性能を向上させる整備手法を明らかにした。 その結果、現行制度のもとでは「路地を活かしたまちづくり」の導入は合理的ではない一方で、制度改善及び住民自らがプランニングを行いまちの将来構想を作成する「路地まちづくり計画制度」とも言うべき新たな制度を導入することにより、密集市街地における「路地を活かしたまちづくり」は導入可能であるということが明らかになった。