抄録
近年、地域の魅力や愛着を生み出すために、歴史的景観の評価が重要視されている。これまでは、建物そのものの歴史的価値を基準に評価する考え方が一般的だったが、集落の「空間のつくり」そのものが歴史的景観を生み出していることがある。しかし、建て替えや法規制により、こうした空間構造は失われやすく、再現できない貴重な要素である。本研究は、このような「空間構造としての歴史的景観」に注目し、私部城跡や北田家住宅など、歴史的な町並みや貴重な景観が残っている地区である交野市私部旧市街地を対象に、「残したい景観」を地域外から訪れた社会人と大学生がどう評価するのかを比較し、外部者だからこそ気づく魅力や特徴を明らかにすることを目的とする。