日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集
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最新号
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  • 京都市における政策的対応と宿泊施設類型に着目して
    川井 千敬, 阿部 大輔
    2024 年 22 巻 p. 1-4
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本稿は簡易宿所の曖昧性の形成を、「社会施設」としての簡易宿所の成立と、売春防止法との関わりおよび簡易宿所創設時の議論から明らかにする。また、簡易宿所に対する政策的対応と、簡易宿所の宿泊施設類型を捉え、オーバーツーリズム期を経て曖昧性を内在した簡易宿所がどのような変容を経験したか明らかにすることを目的とした。  労働者のための簡易宿泊所と売春宿の適法化を背景に1957年に新たに定義づけられた簡易宿所では、曖昧性を孕まざるを得ない制度設計となったことが推測された。創設時から内在する制度的な曖昧さと、2016年の設置基準の緩和および現在まで政策的対応が不在であることから、「宿泊する場所を多人数で共用する施設」には当初想定されていなかった宿泊特化型の簡易宿所がオーバーツーリズム期に急増したと考えられる。
  • Web検索エンジンを用いた5W1H 整理
    赤堀 怜央, 近藤 民代
    2024 年 22 巻 p. 5-8
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本稿では、バンライフと呼ばれる人々の住まい方志向を明らかにする。リモートワークが普及などを背景に、日本においてバンライフという生活を送っている人々が徐々に現れてきているがこのような生活はまだ研究があまりなされていない。本研究の目的はバンライフの住まい方志向を明らかにすることでこれらの生活の可能性を考察することである。本研究では年間100日以上を基準に、車に住まう生活をしている人をバンライフの対象として選定した。研究方法としてはWeb検索エンジンを用いてバンライフ実践者のインタビュー記事やブログを抽出し、5W1H に沿って分析することで彼らの住まい方志向を調査した。結論としてはバンライフを行う人々は旅が好きというのをベースに持ちながら、家賃を浮かせたい、時間を有効に使いたい、自分の個室空間を移動させたい、新しい体験がしたいなどの志向があった。また彼らの生活は自然に対する対応力が非常に高いことが分かった。
  • 奈良市奈良町を対象として
    高山 哲弥, 井上 芳恵
    2024 年 22 巻 p. 9-12
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、町並み保存を目的とした観光まちづくりが展開されてきた「奈良町」を対象に、コロナ禍を経た一連の観光まちづくりプロセスを整理した上で、エリアを超えたまちづくり団体間の連携が行われたことによる団体としての効果について明らかにすることを目的とし、奈良町で活動する団体で構成される実行委員会を中心にヒアリング調査を行った。結果として、奈良町の観光まちづくりはコロナ禍を経て、全国町並みゼミや奈良町見知ルの開催に向けてエリアを超えた団体間連携が行われたことで、奈良町の観光まちづくりとしては新たな段階に入ったことが明らかになった。また、効果として団体間や地域関係者とのネットワークの形成と各団体のノウハウの共有が見受けられた。
  • 関根 仁美, 加賀 有津子
    2024 年 22 巻 p. 13-16
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    超高齢化社会において住民のQoL向上及び健康寿命の延伸を目指し、大阪府は、年を重ねても住み続けられ、多世代にとって魅力のあるまちを「スマートエイジングシティ」としその実現を目指している。一方、健康は日々の生活習慣から形成されるが、どのような地域の特性が人々の正しい生活習慣に寄与するかについて、知見が蓄積されていない。そこで本研究では住民へのアンケート調査を通じて、住民らの生活習慣度と居住地周辺に対する主観的評価との関係性を明らかにした。その結果、まちに活気がある状況で、年代が多様であることや、空間の多様な利活用、十分な広場や空間、道路や空間の清潔さがあると感じられる状態が、間接的に生活習慣度の高まりに寄与することを示した。
  • 井谷 直渡, 田中 一成
    2024 年 22 巻 p. 17-20
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    新型コロナウイルスの拡大とともに、リモートワークの増加や日常生活における在宅時間の割合が増加傾向にある。また、これに伴う騒音の苦情件数も増加傾向にある。一方で、こうした騒音に対する対策はハードによる対策が主なものであり、音環境の印象評価に着目したものは少ない。本研究では、人間の認知特性の一つである音源定位が音環境に対する印象評価に影響していると推定し、音環境に対する印象評価を明らかにすることを目的として、研究をおこなった。本研究では、音環境に対する印象評価調査、実験環境を用いた音源定位の抽出実験をおこなった。また、これらの結果を用いて、実際の音環境に対する評価をGIS上に可視化し、おこなった。
  • 大阪砲兵工廠を基軸とした大阪城周辺市街地への影響
    深野 聡実, 阿久井 康平
    2024 年 22 巻 p. 21-24
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では大村益次郎が唱えた「軍都大阪構想」を筆頭に、まず、その歴史的経緯と内容を明らかにした。また、大阪砲兵工廠創立が近代大阪の都市形成にもたらした枠組みとして、生活に必要な要素とされる衣食住の一つの住環境、近代化の指標として捉えられる鉄道や道路網などの交通、産業集積などの工業の観点から分析を行った。その結果、近代大阪が住環境・交通・工業の面で、様々な影響を受けたことが明らかになった。その影響には、急速な近代化による生活環境の悪化といった負の側面も含まれていたが、大大阪という都市形成の歩みを辿るうえで、直接的あるいは副次的な影響を与えたことが示された。
  • 滋賀の繊維業における空間資源の継承と活用に向けて
    平田 廉, 轟 慎一
    2024 年 22 巻 p. 25-28
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年、日本では産業構造の変化や担い手の不足により使われなくなる工場が増えている。滋賀県高島に集積する綿織物産地でも同様に稼働しない工場が出ており、産地各地に工場建築が残る。また、稼働している工場は、機械の新規導入時に増築や貸借により作業空間を変化させていた。そこで、地域に残る工場の建築的特徴について分析するとともに、企業別に創業から現在までの増移築の履歴、敷地の空間構成を調査した。現存する工場の多くは昭和中期から戦後にかけて建てられたもので、事業の変化に合わせ幾度か増移築を行っていた。廃業した工場を借り倉庫として使う事例も見られた。一方で放置されている工場もあり、空間資源活用の可能性が捉えられた。
  • 『私の伊賀上野城』の分析より
    吉田 瑞希, 服部 圭郎
    2024 年 22 巻 p. 29-32
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は同様に城を都市のシンボル(象徴)として捉え、天守を有する城がどのような文脈の中で意味づけされるのかを明らかにすることを目的とする。 この為本研究では三重県伊賀市に存在する伊賀上野城を対象にこの城の建設88年を記念した。公募のエッセー集から内容分析を行う。この結果、作品内での上野公園の主要な構成要素、周辺の構成要素、利用などについて明らかにした。また伊賀上野公園がどの様に表現されるかについて分類集計し提示した。その上で既往研究で指摘される①象徴的建造物であること、②近現代の遺構も含んだ価値を持つこと、③高所からの展望を提供すること、の3つの城についての価値がエッセー集内で確認されることを示し、現代的文脈の中での城の価値についての考察を行った。
  • 沖縄・斎場御嶽のゾーニングを手がかりに
    川崎 修良
    2024 年 22 巻 p. 33-36
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では世界遺産申請時に斎場御嶽の遺産及び緩衝地帯の線引きが検討される過程を調べ、その前後に作成された行政計画等と合わせて考察した。文献調査及び関係者へのインタビューを通して、コアゾーン、バッファゾーン共により広範囲に設定されるべき要素が残されていたことと、バッファゾーンがコアゾーンをどのように保護するのかが明確には説明されない形で世界遺産への推薦が作成されていたことが確認された。文化的景観としての広がりを考えると、ゾーニングは遺産、緩衝地帯共に十分とは言い難い。遺産、緩衝地帯の両者共に暫定的なゾーニングと捉えて、今後の議論等も待って柔軟に変更を考えていくことが必要であろう。
  • 石黒 壮真, 阿部 大輔
    2024 年 22 巻 p. 37-40
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、欧州における近現代建造物の遺産登録の取り組みとオランダの近現代建造物の遺産登録と保全について明らかにしたうえで、近現代建造物の保全に関わる現状と課題について考察することで、日本における近現代建造物の文化財登録の示唆としたい。結果として、欧州の国家レベルでは、保全を行うよりも近現代建造物の把握と遺産的価値づけを重要視していると考えられる。近現代建造物は、団地や都市開発地区など大規模で複数の建造物群で構成されるものも多い。そのため日本では、新制度及び、登録有形文化財や伝統建造物群の制度等の選定基準を拡大し、オランダの復興遺産のように国や市町村の景観保護地域として指定することが必要となると考える。
  • 台湾高雄市を対象として
    松本 安弘, 阿部 大輔
    2024 年 22 巻 p. 41-44
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本稿は、台湾で歴史的環境の保存の文脈で注目される戦後に形成された軍人関係者集住地区「眷村(ケンソン)」の形成から解体、保存に至るまでの変遷を追い、政治的意向によって左右される歴史環境の保存プロセスについて考察することを目的とする。その結果、眷村は所有者である国防部や政府の思惑から長らく解体の対象となっていた。しかし、眷村の解体が加速する中、眷村で醸成されてきた歴史や、眷村住民らの居住権を守ることから保存の潮流が生まれた。そして、現在は、眷村居住者が醸成してきた周辺エリアとは異なる独自の生活圏を象徴するエリアとしての保存の価値が見出されていると考えられる。
  • 韓国と日本の事例を通して
    朴 延
    2024 年 22 巻 p. 45-48
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    eスポーツは、2025大阪万博の関連イベントや2026名古屋アジア大会の正式種目になっており、オリンピックにも正式種目として選定される可能性があるなど、スポーツ化を図っている。本研究は、eスポーツの事業を行う上で、重要な要素である「eスポーツ施設」を、現状の遊興施設ではなく、文化施設・体育施設として捉え、公共性を持つ施設として、見直すことが主眼である。 特に、eスポーツ施設において都市計画適用の必要性を示した上で、文化面・規模面・経験面で先行する韓国を参考に、eスポーツ施設における都市計画(複合化・連携化・接近性)の事例について分析を行った。また、人が集まる場所としてどのようにすべきかについて提言を行った。
  • 社会実験の視点からの検討
    大喜多 梨加, 松本 浩和, 田中 雅宣, 前川 友宏, 西田 善宏
    2024 年 22 巻 p. 49-52
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    奈良県生駒市に位置する生駒駅南口周辺では、「生駒駅南口みらいビジョン」に基づき、地域の魅力向上と住民・来街者の利便性向上を目指したプロジェクトが進行中である。本研究では、ウォーカブルなまちづくりの推進のため歩車分離と滞留空間の設置に関する社会実験を行い、その効果を検証することを目的とする。また、特に本社会実験においては、地元住民の愛着を醸成することを意図し、地元で活動するプレーヤーが主体的にワークショップを開催、一部備品を製作することによる市民参画を促していることから、それらの効果についても確認する。
  • 藤元 嵩史, 嘉名 光市, 高木 悠里
    2024 年 22 巻 p. 53-56
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    都市公園の設備・維持管理において、近年、Park-PFIの導入が急速に広がっている。本研究は、Park-PFIの事業者選定における審査基準の実態に関し、全国調査を行ったものである。Park-PFIを活用した都市公園整備事業102 事例を対象に、公園種別や規模等の公園特性、収益施設の種類等の事業特性を文献調査により把握した。また、審査基準が入手できた71事例について、審査基準の項目を分類・分析し、審査基準と公園特性・事業特性との関係を考察した。その結果、公園の規模や立地する都市圏によって「賑わい」「集客性向上」が重視される場合があるなど審査基準の傾向を明らかにした。また近年は審査基準の項目が多様化している状況を明らかにした。
  • 大阪駅周辺梅田地区を対象として
    廣山 達哉, 岡井 有佳
    2024 年 22 巻 p. 57-60
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は大阪版BID制度・日本版BID制度を活用している大阪駅周辺地区を対象に、エリマネ活動に対する地区内の事業者の評価と両制度の効果と課題を明らかにすることを目的としている。その結果、明確な受益の根拠データの提示が難しく、受益の範囲設定がエリマネ団体にとって課題となっていることと、日本はエリマネの互助性の性質が強く、フリーライダーの排除が難しく、直接的なメリットがないことが明らかとされた。また、団体の負担軽減のため、国がイベント活動の換算方法を提示することが望ましいことと、BID団体への税制優遇や道路占用許可及び占用料の免除などの活用メリットの創出と、エリマネの効果を周知することが提案された。
  • 原口 和徳
    2024 年 22 巻 p. 61-64
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    スマートシティ化によって少子高齢化などの社会問題の解決を図る取組が各地で行われている。しかしながら、スマートシティの取組は、実証実験を経た後に事業化に至らないものや、事業化後に取組の縮小や廃止に至っているものもみられている。本稿では、当初の想定通りに取組の事業化が進まなかった事例の検討を通して、スマートシティの取組を阻害する要因の検討を行った。検討の結果、取組を阻害する要因には、技術や法令に加えて、社会的受容性によるものがあることが明らかになった。加えて、社会的受容性を高めていくための取組について、住民の理解と受容に着目し、先行事例の知見を用いた検討を行った。
  • 「RUHR.2010」を対象に
    山内 裕貴, 阿部 大輔
    2024 年 22 巻 p. 65-68
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    EUを中心とした欧州諸都市で取り組まれる「欧州文化首都」プログラムでは、毎年1から3都市が「欧州文化首都」として選定され、都市規模での文化イベントが1年をかけて行われる。本稿では、2010年にドイツ・エッセン市が「欧州文化首都」として、ルール地域で開催された「RUHR.2010」を対象とし、プログラム開催の背景から、現在の取り組みに着目する。それにより、プログラムを契機とした都市での展開を後付け、「欧州文化首都」プログラムがどのように都市に寄与しているか考察する。
  • 大津駅西地区の再開発を対象として
    川瀬 遥奈, 阿部 大輔
    2024 年 22 巻 p. 69-72
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 フリー
    1969年以降、再開発の実施地区が年々増加している一方で、個性あるまちづくりのためには地域文脈の検討が必要であると言われている。しかし、再開発において地域文脈を継承しようとする事例は必ずしも多くない。  本研究では、地域文脈を共有することで表出する地域の個性を「地域性」とし、大津駅西地区の再開発を事例に、再開発事業前後での地域性の継承可能性を高めうるプロセスの在り方について考察する。  その結果、大津駅西地区では、権利者の事業参加機会の確保、区画整理事業との一体的施行や都市再生住宅の建設等のような幅広い権利を保障するための工夫、さらにそれらを受け入れる寛容さを事業主体が備えていたことで、地域性の継承を念頭に置いた事業展開が可能となった。
  • 山田 華梨, 嘉名 光市, 高木 悠里
    2024 年 22 巻 p. 73-76
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では北摂にある小学校と中学校の校歌(282校)を収集し、北摂地域を象徴する単語を抽出し、その表現的特徴、各学校の位置・分布等の特徴を調査・分析することで、北摂の地域イメージの考察を試みた。収集・抽出の結果、校歌に最も多く登場する「山」に着目して北摂の地域イメージを考察した。結果、北摂の山々に加え北摂以外の六甲山や生駒山などが歌詞から抽出できた。また、大阪のイメージを謳う歌詞もあり、北摂よりも広い範囲に対して地元であるという意識を持っている場合があると考察した。山に関する単語の修飾語句を整理すると、認識タイプでは「風」が比較的山頂からの距離が近い学校で見られる傾向にあることがわかった。
  • 元興寺周辺を対象として
    小藤 由瞳, 岡井 有佳, 麻生 美希
    2024 年 22 巻 p. 77-80
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    バッファゾーンは、世界遺産周辺の景観を守るために、設定が要請されている。しかし、その手法は各国の法制度に委ねられており、日本では各自治体により運用されている。本研究で対象とした、元興寺バッファゾーンは、都市的機能と歴史的町並みが共存する地域であることから、都市部のバッファゾーンにおける歴史的景観の保全に関する課題を明らかにした。景観規制としては、景観法に基づく届出制の景観形成基準によって運用されている。運用実態の調査を通して、次の3点の課題を明らかにした。1点目は、異なる特性を持つ通りに対し一律の基準を運用していること、2点目は、第42条2項と景観規制の不整合、3点目は、増加する駐車場等の空地の景観調和である。
  • 杉本 千一, 武田 重昭, 松尾 薫, 加我 宏之
    2024 年 22 巻 p. 81-84
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、水の都として都市の魅力づくりを進めてきた大阪市のオープンカフェを対象に、その立地特性について水辺や公園との関係から把握し、視点場の特性や水と緑の景観からその魅力を探った。大阪市では、オープンカフェは都心3区に多く分布しており、中之島内外の水辺や大規模公園といった良好な景観資源が存在する場所でも展開されている。水辺では、水面を引き空間とした眺望性の高い中・遠景や水と緑が調和した景観が眺めやすいテラス席の配置の工夫がみられる店舗が多い。一方、公園が視対象の店舗では、多様な緑景観を魅力として捉え、取り込んでいる店舗は少なく、店舗内の雰囲気を楽しむ形態の店舗も少なくない。
  • 開発圧力の低い地方における取り組み事例の報告
    筈谷 友紀子
    2024 年 22 巻 p. 85-88
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、愛知県南知多町での景観計画策定の取り組みを事例に、以下の2点について検討を行った。第一に、景観法の活用の必要性が低いとされている地方における景観計画策定のためのアプローチ手法の検討。第二に、開発圧力の低い地方における建築物の規制誘導に依らない景観形成の取り組みの検討である。
  • 丸田 絢音, 松尾 薫, 武田 重昭, 加我 宏之
    2024 年 22 巻 p. 89-92
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では神戸市の塩屋小学校区を対象に、景観基盤と沿道景観の特性から、景観の魅力の要因を探った。景観基盤特性では、歴史特性と物理環境特性を捉え、対象地を「すり鉢状斜面旧市街地地区」「計画的市街地発展地区」などの8つの景観基盤地区に分類することができた。沿道景観特性では、対象地全体で植栽が多く確認できた。特に塩屋町3丁目には、狭隘な道路沿いに多様な植栽が多く見られることで、まち並みが緑に溶け込み、手の届くところに自然が感じられる。併せて、板塀・石積み・生け垣などの素材が組み合わさったユニークな囲障が個性を生み出し、住民同士の関わりを促す掲示物が人と人との親密さを生んでいることも魅力である。
  • 市町村マスタープランでの記載内容を中心に
    久保田  夏樹, 阿部 大輔
    2024 年 22 巻 p. 93-96
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は、市町村マスタープランの記載内容から都市計画でのジェンダー平等の取組状況を明らかにし、ジェンダーと都市計画の関連性の整理や課題の考察を行うことを目的とする。 マスタープランで、ジェンダー平等に関する視点から方針・施策を示す自治体は少ない。社会的な問題として男女共同参画社会の実現や女性の労働参加などに触れているものの、自治体の課題として施策に反映させるには至っていないことが明らかになった。 都市計画分野でのジェンダー平等に向けた取り組みの課題として、固定概念や偏見が都市計画上や都市空間上の課題として考えられていないことが挙げられる。避難所の指摘など議論の進む課題もあるが、施設の設置や空間の分離といった施設内での対応であり、面的な対応策が講じられていないことも課題である。
  • 既往研究のレビューを基に
    山下 真里佳, 山本 雄大, 西堀 泰英
    2024 年 22 巻 p. 97-100
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    自治会や町内会などの地域コミュニティは、加入率の低下や担い手不足などの課題を抱えている。本研究では、人々が地域活動に関与することで風土と関わり、地域愛着や責任感が醸成され、この一連のプロセスが担い手育成につながることを示すことを目的として、既往研究のレビューを行った。その結果、1)人々は美観や安全に関する地域活動に対する関心が高いこと。2)地域祭礼活動や挨拶運動などが愛着に影響を与えること。3)担い手確保には、自治会役員の明文化や若い世代の参加が重要であること。4)子どもや学生、仲介者が関わることで上記プロセスに寄与することなどを示した。以上のプロセスを取り入れることで、地域活性化と担い手確保に寄与できる可能性が示唆された。
  • 交野市のフェノロジーカレンダーの作成を通して
    恒松 勇輝, 竹村 文華, 井倉 雅子, 中村 昇
    2024 年 22 巻 p. 101-104
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年、地域資源は、人口減少に伴うコミュニティの衰退や担い手不足により、その保存が困難な状況になることが懸念されており、住民参加による地域総がかりの保存・活用が求められている。本検証はフェノロジーカレンダーの作成を通じて地域資源の保存・活用に関する住民参加手法の有効性の検証を行ったものである。
  • 長宗 武司, 中村 良平, 林 秀星
    2024 年 22 巻 p. 105-108
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    都市における自己組織化モデルは Krugman(1996)が最初にモデル化を行い周縁都市の創発原理を明らかにしたが、それは数値シミュレーションにとどまるものであった。その後Kumar et al. (2007)が、実際のデータを用いて、Krugmanの自己組織化モデルが企業の集積・分散の予測に応用できる可能性を示した。本稿ではエージェントベースモデルによって、我が国の都市における情報通信業の集積・分散の再現と予測について、東京23区の小地域を対象にシミュレーション分析を行い、自己組織化モデルの有効性を示した。
  • 滋賀県栗東市「光の穂」・竜王町「ひだまり学舎」を対象として
    宮下 晴凪, 阿久井 康平
    2024 年 22 巻 p. 109-112
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、空き家利活用による地域コミュニティ施設における改修・管理・運営プロセスについて、滋賀県栗東市「光の穂」、滋賀県竜王町「ひだまり学舎」を抽出し調査を行なった。それぞれの施設の特徴を捉えた上で、施設の課題やその発生要因について調査・分析を行い、地域主導型まちづくりの一助となる知見を得ることを目的とした。「光の穂」においては地域住民からの要望に応えた取り組みの実施がみられたが、「ひだまり学舎」においては施設ターゲットが限定的であったため地域住民とのビジョンの齟齬が生じていた。また、「ひだまり学舎」では施設への愛着醸成や施設を開放的な場とすることを目的とした取り組みを実施しており、運営主体として地域住民との関係を醸成、涵養することの重要性が示された。
  • 井下 晃介, 紀伊 雅敦, 松本 邦彦
    2024 年 22 巻 p. 113-116
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は、今後の生活道路における歩行者環境確保に向けた示唆を得るために、道路空間を構成する要素と周辺の公共施設や地域特性に着目し、遊戯道路の廃止との関係を明らかにすることを目的とした。遊戯道路の指定位置と概要をまとめた行政資料や路上設置物等を把握するための現地調査、幅員や地域特性等が把握できる図面や統計地理情報を用いて、廃止された遊戯道路がもつ特徴を特定した。結果、遊戯道路の廃止には、幅員等の道路空間を構成する要素ではなく、公園および教育施設といったボール遊びやローラー・スケート等、大きな空間が必要な子供の遊びを行える代替的機能をもつ施設の存在の多さが関係していることが明らかになった。
  • 松本市・福山市を対象として
    小林 将太朗, 阿久井 康平, 高木 悠里, 嘉名 光市
    2024 年 22 巻 p. 117-120
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、歩行者利便増進道路に着目した制度展開プロセスの特徴と課題について、広島県福山市、長野県松本市の2都市を抽出し調査を行なった。それぞれにおいて、【制度展開の目的】【路線選定のプロセス】【将来ビジョン】,さらには【プラットフォーム形成】や【利便増進施設のデザイン】のプロセスや内容などについてヒアリング調査を通じて実態を明らかにした。制度展開の課題として、福山市はコロナ期間中に店外営業を目的としていた路線も含め移行後占用をしなくなった路線もあるが伏見町のデニム屋台など活発な動きを見せる主体的な運営を行う路線も確認できた。一方、松本市ではコロナ以降店舗内だけで収益を見込めることや、飲食店であれば店舗外までサーブすることが困難であるなど、今後の制度展開の課題としても明らかになった。
  • 桑野 稜市, 岡井 有佳
    2024 年 22 巻 p. 121-124
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年賑わいのための道路活用が推進されているが、ノウハウ不足や財源・人材不足・管理者との合意形成等の課題によって、多くの地域では具体的な進め方が不明瞭であり恒常的な道路活用に至っていない。 本研究では、全国の道路活用事業を対象に道路やその周辺環境の特徴ごとに事例分析を行い持続的な道路活用の要因について明らかにした。結果、恒常的な道路活用を実現するためには、関係者との連携、占用主体の確立、行政の支援が重要であることが明らかになった。また、道路特性の分類として小規模道路型、大通り型、商店街型の3つにカテゴライズでき、それぞれ歩行者天国型、拠点整備型、面的活用型の道路活用が有効的であると考察した。
  • 白石 悠, 紀伊 雅敦, 松本 邦彦
    2024 年 22 巻 p. 125-128
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は、公共空間における芸人の練習活動による滞留について活動場所の空間特性と芸人の他の利用者に対する配慮意識を明らかにすることを目的とした。現地調査及び芸人と公共空間の管理者に対するヒアリング調査から、他者との位置関係の違いから芸人の類型化を行い、配慮意識や空間の選定理由などを分析した。48組中34組の芸人が人目につきにくい隙間空間で活動を行うこと、一方で複数の芸人が密集する場合は、隙間空間だけではなく人目につきやすい空間も選好されることが明らかになった。一方で、芸人の密集により一般利用者に対する配慮意識の欠如が生まれる懸念も示唆された。
  • 中前 涼太, 田中 一成
    2024 年 22 巻 p. 129-132
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、路面舗装との歩行の関係を明らかにすることを目的とする。仮想現実ソフトウェアTwinmotionを使用し、商店街の歩道における異なるフットスケープデザインパターンを用いて実験を行った。色、サイズ、間隔の特性をもとに作成した12パターンのデザインを15人の建築学生疑似的に歩行させるシミュレーションを行い歩行軌跡のデータを採取した。直径サイズでのデザインパターンでは、直径120cmの円は60cm、30cmと比べ左右に移動する事から、歩行の安定性が低下することが明らかとなった。また、配置間隔が狭いほど歩行軌跡が安定する傾向が示されており、配置間隔が狭いほどデザインが連続的に見え、直線的に捉えた事から規律的な歩行性が見られたと考察される。色の変更による影響は限定的であったものの黒のデザインパターンでは、中心から離れる傾向がみられた。
  • 社会実験・御堂筋チャレンジ2022を対象として
    遠藤 真仁, 嘉名 光市, 高木 悠里
    2024 年 22 巻 p. 133-136
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年、人中心の公共空間の整備が各地で広がりを見せており、大阪・御堂筋では通行と滞留が共存する空間を目指して整備が行われている。本研究では2022年に御堂筋で実施された社会実験「御堂筋チャレンジ2022」を対象として、定点カメラによるビデオ調査により、滞留スポット周辺の通行行動の実態を検証し、滞留スポット設置前後での変化を考察を行った。その結果、滞留スポットの設置が歩行者・自転車双方に対して正しい通行区分の通行を促す整流効果があることが明らかとなった。特に、街区端部への設置でその効果が強いことが明らかとなった。一方で、通行量が多い際には滞留スポットが通行と阻害となることも明らかになり、通行実態を踏まえた設置が必要であると考えられた。
  • 大阪市阿倍野区 あべのHoopを事例に
    中川 結介, 青木 嵩
    2024 年 22 巻 p. 137-140
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    成熟した都市においては、再開発などが進行するが、都市居住の生活の質の向上に向けては、それだけでは対応しきれない。既存のオープンスペースを活用することも重要である。本稿は、これまでの議論に加えて中規模商業施設の地階にあるオープンスペースを対象に、特に夕刻から夜間にかけた滞留行動を観察調査した。その結果、時間が遅くなるに従い利用者が増加する傾向が伺えた。また日中に少ない学生層の利用も確認された。こうした傾向は、夜間におけるオープンスペースの活用は、都市居住の生活の質の向上に資すると考えられ、更なる既存空間の活用を目指した環境整備が求められることを示す。
  • マルチエージェントシミュレーションを用いて
    十鳥 祐輔, 清水 優汰, 吉浦 丈大, 山口 行一
    2024 年 22 巻 p. 141-144
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では,地下街を対象に,複数の避難誘導方策に対する避難完了時間と混雑による危険度を分析することで,避難誘導方策の選定の考え方を示すことを目的とする.シミュレーションによる分析の結果,避難完了時間のみに着目した避難誘導方策を選定すると混雑が発生するリスクがあることを明らかにした.また,検討した3種類の誘導方策は,避難完了時間,混雑出口数,混雑危険度の観点から得失があるが,避難誘導方策を組み合わせることで,欠点が緩和され,よりバランスの取れた避難誘導が可能になることも明らかにできた.避難誘導方策の有用性を判断する際は,避難完了時間だけでなく混雑危険度も加味する必要がある.
  • 石榑 督和, 松井 敬代, ハミルトン 塁
    2024 年 22 巻 p. 145-148
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本稿の目的は、豊岡市立歴史博物館の新出史料である1925年に発生した北但大震災後の城崎町復興事業、特に区画整理に関する図面史料を紹介した上で、区画整理以前・以後の図面史料を比較することで復興過程での市街地の変化の一端を明らかにすることである。
  • 長尾 元輝, 近藤 民代, 葛西 リサ
    2024 年 22 巻 p. 149-152
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究はコロナ禍に居住不安定層が拡大したことを示すとともに、住宅確保要配慮者の生活再建プロセスに対応させて居住支援団体のプログラムを整理し、その課題を分析することを目的としたものである。2章にて、住居確保給付金の支給実績と公営住宅の目的外使用の利用実態からコロナ禍に居住不安定層が拡大したことを示した。3章では、支援団体に行ったヒアリング調査をもとに、支援プログラムを整理、類型化を行った。連携は行政主導、不動産主導、NPO主導の3タイプ、物件の提供方法は自社物件の利用、サブリース、両者の併用の3タイプに分類され、それぞれの課題を考察した。今後は居住支援の課題については、当事者の視点を交えた課題の分析が行えるよう研究を継続する。
  • 福島 麻斗, 石原 凌河
    2024 年 22 巻 p. 153-156
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本稿は、東日本大震災被災地において、民間診療所の移転実態及び移転に対する評価を明らかにした。アンケート調査の結果、災害危険区域の指定や津波浸水被害に加え、患者の住居移転が移転理由となっていた。移転時期別にみると、震災から1年以内に移転した民間診療所は、自力発見や知人等の紹介を通じて移転先を探し、所有形態を震災前後で所有から賃貸へと変化させており、震災前よりも条件や周辺環境の良い場所での再建も図られていた。一方で、1年以内に移転した民間診療所ほど、銀行ローンを借入しており、物件条件や周辺環境が悪化したと評価されている一面も確認できた。民間診療所の移転を促進するうえで「情報提供による移転支援」、「医療活動の継続支援」、「補助金・助成」の必要性を指摘した。
  • 神戸市と他の政令指定都市との比較から
    山田 章子
    2024 年 22 巻 p. 157-160
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、政令指定都市20市を対象として、空き家の発生状況、住宅ストックの状況や新築着工の状況と、人口動態との関連を分析した。空き家の増加と、古い住宅の割合とは相関が見られたが、新しい住宅の割合とは相関が見られなかった。従って空き家増加の最大の要因は、古い住宅が更新されないことである。人口増加率と、住宅総数に対する年間住宅着工戸数の割合とは相関が見られた。持続可能な都市にとっては、住宅着工の割合が一定の範囲であることが重要である。人口増加率と新しい住宅の割合にも相関が見られた。新しい住宅は質が高く、そのような住宅が多い都市が選ばれている。人口増加のためには、住宅の質の向上が重要である。
  • 空き家になりやすい町丁目・建物・所有者の特徴分析
    森 崇太, 関口 達也
    2024 年 22 巻 p. 161-164
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    空き家の増加は全国的な問題であり、地域の実態を把握し対策に繋げることが重要である。本研究では京都府宇治市を対象に、空き家の数や分布のデータや所有者へのアンケートに基づき、複数の観点の分析から空き家の発生やそれらが管理不全な状況に陥る要因の抽出を行う。地域単位の分析から、高経年化した地域で空き家は発生しやすいが利便性・福祉環境の充実により発生を抑制できる可能性を示した。また、建物単位の分析から、住宅需要や日常の買い物利便性が高いと空き家になりにくいといえる。所有者単位の分析では、長期間にわたり空き家である物件や、居住者・地域が適切に管理できない状態であると管理不全な状態になりやすいことを示した。これらは、自治体の今後の調査の実施や対策立案に役立つ結果である。
  • JR桜井線畝傍駅を事例に
    池上 将史, 福島 麻斗, 石原 凌河
    2024 年 22 巻 p. 165-168
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年、地方の鉄道路線を中心に鉄道事業者による鉄道駅の維持管理が困難となり、鉄道駅の無人化やコンパクト化が行われ、鉄道事業者以外の主体が維持管理する鉄道駅が存在する。本研究では、奈良県橿原市のJR桜井線畝傍駅を事例に、鉄道駅の維持管理手法に対する地域住民の評価を明らかにした。その結果、鉄道駅を年1回以上利用する人ほど、現存の駅舎を保存し、外部団体が維持管理を行う手法に対して賛成を表明し、駅舎をコンパクト化し、外部団体による維持管理を行わない手法に対して反対を表明する傾向にあることが示唆された。また、支払意志額が平均値よりも高い人ほど、駅舎をコンパクト化し、外部団体による維持管理を行わない手法に対して反対を表明する傾向にあることが示唆された。
  • 2011年度~2023年度のデータに基づいて
    萩原 瑞樹, 小塚 みすず, 吉田 正樹
    2024 年 22 巻 p. 169-172
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究の目的は、エスカレーターを安全に利用するための改善策を検討し、駅で実施し、その効果を検証することである。エスカレーター事故は毎年発生しており、エスカレーターの安全利用が求められている。特に公共交通機関での事故が多いことから、公共交通機関での対策が重要と考える。分析に用いる16の項目のデータを神戸市営地下鉄のエスカレーター事故報告書から抽出した。データ集計の結果、11~12時台、21~22時台に事故が多く、また、すべての時間帯で60歳以上に事故が多いことがわかった。また、「30歳,50歳,60歳が対象に19時以降にかけて飲酒による事故が発生している」等の4つのグループに類型化ができた。
  • 沢田 翔馬, 木村 優介
    2024 年 22 巻 p. 173-176
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年,国土交通省により制定されたガイドラインにより自転車走行空間の整備が促進されているが,自転車利用者が歩道を走行しており,有効的な利用がなされていない現状にある.今後,自転車走行空間を設計するためには,利用者が走行場所を選択するにあたってピクトグラムがどの程度意味のあるものなのかを把握する必要がある.本研究では,自転車専用通行帯の整備された道路において,アンケートを用いた印象評価実験を行った.通行場所の選択とピクトグラムの関係性の分析をした結果,ピクトグラムを表示することにより走行しやすくなり,その中でも自転車のピクトグラムに特に影響される傾向がみてとれた.また,印象ごとに最も影響されるピクトグラムが違うことも明らかにした.
  • 武田 裕之
    2024 年 22 巻 p. 177-180
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、「費用の分配」の観点から、そして、個人の意思決定の場面においてのフューチャー・デザインの効果の検証のため、フューチャー・デザインにおける既往研究から、自己プロセスという手法を考案し、自己プロセスグループ、将来世代グループ(仮想将来世代を適用)、現代世代グループの3グループを設定し、市道の道路維持管理のための増税施策に関するアンケート調査から、施策の賛否および支払い意思額(WTP)を明らかにした。  さらに分析結果から、フューチャー・デザインの効果の範囲と効果が発揮される場面についての可能性を示唆した。
  • 摂津市を対象に
    入江 亘, 岩崎 寛之, 山口 行一
    2024 年 22 巻 p. 181-184
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    シェアサイクルは、公共交通の一つの手段として位置づけられてきている。本研究では、大阪府摂津市を対象にシェアサイクルと公共交通機関の連携可能性を検討する事を目的に、路線バスとシェアサイクルの移動実態のデータを分析して、シェアサイクル利用者の路線バスとシェアサイクルの乗換実態と路線バスの利用意向を明らかにした。分析の結果、路線バスとシェアサイクルの乗換実態はほぼないと推測できた。また、シェアサイクルの利用者は三つの特徴あるグループに分類でき、路線バスの運行頻度が高ければバスに利用転換する可能性がある区間や、路線バスの運行頻度が高くてもシェアサイクルを利用する可能性がある区間を特定することができた。
  • 藤本 瑞生, 山口 行一, 横山 広充
    2024 年 22 巻 p. 185-188
    発行日: 2024/07/22
    公開日: 2024/07/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では実際の事故多発交差点を対象に走行動画とアイトラッカーを用いたハザード知覚テストを行い、運転者の視線データを取得し、交差点右左折時のハザードの知覚特性を交通事故の類型と関連付けて分析を行った。「顕在的ハザード」・「行動予測ハザード」・「潜在的ハザード」の3つに分類して分析を行ったところ、潜在的ハザードが最も正答率が低かった。 潜在的ハザードについて分析した結果、右左折時とも、右左折の際の車両相互の事故につながるハザードや横断歩道を横断中の人に関わるハザードついては、正答率が高かったものの、横断歩道にいない人に関わるハザードや車両相互の追越・追抜や出会い頭に関わるハザードについては、正答率が低かった。
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