日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集
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  • - 道修町通の「軒切り」を事例として -
    久本 拓弥
    2022 年 20 巻 p. 1-4
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    近代初頭の大阪の旧市街においては、町家の道路への突出による狭隘な道路空間が問題とされ、その解消のために沿道の軒先を切り揃えて街路幅を確保する通称「軒切り」が実施された。これまでの「軒切り」を対象とした研究では、主に行政の施策に関する分析が中心であり、住民側の対応については十分に検討が行われてこなかった。本稿では、1920年に大阪の道修町通において実施された「軒切り」を事例として、行政文書や社史、業界誌の記述をもとに、沿道住民の関与という視点から、都市計画の黎明期における道路整備の実態について考察を行う。
  • - Règlement des Étalages et des Terrassesを対象にして -
    辻 寛太, 岡井 有佳
    2022 年 20 巻 p. 5-8
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は、近年国内で注目が集まっている道路活用について、制度的観点から促進を図るため、先進地であるパリ市を対象としてその運用方法等を明らかにするものである。2020年に施行された歩行者利便増進道路制度は新設であり、各自治体の運用方針について、取りまとめる必要があるため、本研究によりパリ市の道路活用制度について文献調査を行った。パリ市の特徴として、手続きの一本化により、申請が簡素化されていること、活用において、きめ細やかなルールが定められていることが明らかとなった。さらに今後の国内の展開としては、活用事例を増やし、ノウハウを得ることで手続きを簡便化すること、自治体ごとに条例で設置基準を定め、ルール化していくことが望まれる。
  • - 都市間ネットワーク型プログラムURBACT「Creative Spirits」を事例に -
    山内 裕貴, 阿部 大輔
    2022 年 20 巻 p. 9-12
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    近年、文化や芸術を産業や経済に関連づけた「創造産業」に関する議論が広がり、創造産業が文化・芸術がまちづくりを支える新たな産業セクターになりうる期待が高まっている。EUで行われる都市間ネットワーク型プログラムURBACTにおいても、創造産業を軸に都市課題の解決を図る取り組みが進んでいる。創造産業は多様な要素を持つことから、政策を実施する際にはセクターを超えた戦略や協力が必要不可欠でありステイクホルダーを巻き込んだボトムアップ型のアプローチによって取り組まれる。本研究は、URBACTの取り組みの中で、創造産業をテーマとする「Creative Spirits」プロジェクトに着目し、各参加都市間での取り組みから、創造産業におけるステイクホルダーに関する議論の特徴を明らかにした。
  • 横山 広充, 植田 悠斗, 杉本 岳大, 西應 浩司
    2022 年 20 巻 p. 13-16
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究の目的は歩行時の回頭行動を計測するデバイスを開発すること。さらに風致公園を対象に実験を行い、公園内での景観把握について総合的に記述することである。はじめにマイコンボードにGPSモジュール、地磁気センサー、カードリーダーを組み合わせ頭部に装着可能な実験装置を開発した。次に実験は大阪市内の中之島公園にて10名の被測定者を用いて実施した。結果、歩行時における回頭行動の推移を表記することができた。
  • 中村 仁玲, 松尾 薫, 武田 重昭, 加我 宏之
    2022 年 20 巻 p. 17-20
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では、公園利用者が目的に応じてアウトドア用具を持ち込む環境への「働きかけ」と相応しい場所を選択する環境の「読み解き」から、公園利用者の環境の「使いこなし方」を探った。大阪市都心6区に位置する8公園で2021年9~10月に利用実態調査を実施し、365グループを特定した。働きかけ方は51タイプ確認でき、気軽にくつろぐために手軽な敷物を持ち込むことが多い。環境の読み解き方は22タイプで、天蓋面、被覆面、側面が自然面であることが重視されている。これらによる使いこなし方では、151グループが3面が自然面である環境を選択し、そのうち140グループと敷物を持ち込み、会話、飲食、休憩等が多いが、公園利用者はそれぞれの目的に合わせた使いこなし方をしていることが明らかになった。
  • - 木屋町・先斗町エリアを事例として -
    森 颯太, 石原 凌河
    2022 年 20 巻 p. 21-24
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本稿では、京都随一の盛り場である先斗町・木屋町エリアを対象に、コロナ禍における店舗の営業形態の実態を時系列で把握した。 その結果、まず、第1次緊急事態宣言解除後は自主的に休業や短縮営業を行う店舗が多くみられたものの、第2次緊急事態宣言以降、年月が経過するにつれて、要請内容・期間に従って営業を行っており、飲食店への要請がなされていない期間においては、普通営業に戻る割合が高いことが示唆された。また、2021年3月の調査で、廃業店舗が11店舗と一番多いことが確認できた。しかし、2021年11月末時点で22店舗が休業しており、今後はこれらの店舗が廃業する可能性があると考えられるため、今後も調査を継続しながら廃業店舗の動向を確認していく必要がある。
  • - 大阪市靭公園を事例として -
    下向 葵, 松尾 薫, 武田 重昭, 加我 宏之
    2022 年 20 巻 p. 25-28
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本研究ではInstagramからコロナ禍における都心部の都市公園の捉えられ方を明らかにすることを目的とした。コロナ前の2019年とコロナ禍の2020年の「#靭公園」の投稿を抽出し、写真から景の捉えられ方、テキストから心情表現を分析した。その結果、景の捉えられ方では、コロナ禍でバラ園やケヤキ並木といった空間景がやや増加した。心情表現では、バラに対する〈喜び〉の感情が大半を占め、特にコロナ禍では緑が「爽やか」、新緑を見て「スッキリ」といった心情もみられた。また緑に「癒される」といった心情もみられた。都心部の都市公園は、木陰や風など身体的に感じられる広がりのある自然空間として捉えられており、コロナ禍において人々に癒しや爽快感をもたらしている。
  • 釡賀 一輝, 秋山 孝正
    2022 年 20 巻 p. 29-32
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
     新型コロナウイルス感染症による生活様式の変化に伴い、都市活動の基盤となる都市交通において、従来の問題意識を超えた新たな検討事項が発生している。そこで、本研究ではコロナ禍における都市交通現象を整理するとともに、なかでも道路交通事故の問題と自転車交通増加の問題を中心的に検討する。コロナ禍における道路交通事故に関して、各都道府県の交通事故死者数の変化のメカニズムを考察した。その結果、大都市圏と地方部での交通事故発生メカニズムの相違点が明確となった。また、自転車交通の増加に関しては、死者数は減少傾向にあるのに対して交通違反件数・自転車事故件数の増加が観測された。そのため、わが国においては交通ルールの徹底などの対応が期待される。
  • - 和歌山県海南市・田辺市・串本町を事例として -
    杉山 和則, 石原 凌河
    2022 年 20 巻 p. 33-36
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では、南海トラフ地震による津波が想定される海南市・田辺市・串本町の中心市街地を対象として、商業店舗の立地と業種の変遷を定量的に明らかにした。その結果、直近10年間で既に中心市街地の総店舗数は8割ほどに減少し、ほぼすべての業種で減少傾向にあることが確認できた。また廃業・移転、新規立地ともに飲食系が最も多くみられた。 1980年から続く店舗の存続状況は、3自治体とも総店舗数の3〜4割を占めることがわかった。また、それらの立地変遷と業種を整理すると、「継続立地」「廃業・移転」とも買い回り品系が多い一方で、その他の業種には自治体差がみられた。以上を踏まえて、事前復興計画で取り組むべき政策について考察した。
  • - マルチエージェントシミュレーションを用いて -
    本井 響貴, 渋谷 優太, 高田 悠斗, 山口 行一
    2022 年 20 巻 p. 37-40
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本研究では、仮想の地下街を対象に、避難シミュレーションモデルを構築し、待ち行列を抑制する観点から「誘導なし」、「引き連れ法」、「出口封鎖」といった3つの避難誘導方策の効果を検討した。今回設定した条件で分析した結果、来街者全体が避難を完了する時間や待ち行列が発生する出口は、避難誘導方策の効果を確認する上で重要な指標ではあるが、待ち行列の発生が抑えられたとしても、誘導によって、避難者どうしが移動の際に衝突し、移動中に滞留が発生していることも把握できたため、こうした混乱を事前に把握しておくことは重要である。実際に避難誘導方策を検討する際には、不測の事態によるパニックなども考えられることから、待ち行列について十分な検討が必要である。
  • - 兵庫県沿岸部居住者を対象としたアンケート調査から -
    佐藤 敬生, 澤田 雅浩
    2022 年 20 巻 p. 41-44
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
     近年、災害の大規模・広域化が懸念されている。特に、今後発生が危惧される東海・東南海・南海トラフ地震では、海抜0m地帯を抱える都市部で発生する、長期湛水被害対策は、喫緊の課題である。本研究は、大規模災害による長期湛水被害に備える事前復興対策として、二地域居住政策の可能性について検討した。具体的には、南海トラフ地震で住宅再建が必要な兵庫県沿岸都市部に焦点を当て、主とする住居を選択する際の自然災害リスクの影響、および二地域居住、二地域居住地での避難の可能性をアンケート調査から明らかにした。その結果、勤務先から業務上の指示を受けて、避難行動に一定の制約を受けざるを得ない住民にとっては、二地域居住への期待感が高いことが明らかとなった。
  • 董 亮, 田村 圭佑, 秋山 孝正
    2022 年 20 巻 p. 45-48
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
     現在、世界的に注目される統合的交通システムのMaaSにおいては、基本的なレベルとして、統合的な交通情報がスマホの経路検索結果として提供される。これは多様な都市交通機関の一体的な利用を推進して、シームレスな都市交通を実現するための試みであるといえる。一方で、いわゆる計算機を利用した「経路検索エンジン」で各種の交通機関を統合した交通情報の提供は実用化されている。そこで、本研究においては「経路検索エンジン」から得られるMaaS型の交通情報の有効性について検証する。具体的には既存の交通行動データに対して、「検索情報」から得られる経路情報の妥当性を実証的に検討する。最終的に「経路検索エンジン」から得られる統合的交通情報の適用可能性を整理する。
  • 三宅 一生, 田中 一成
    2022 年 20 巻 p. 49-52
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    現代の日本の多くの都市では、過疎地域の増加や少子高齢化の影響により、コンパクトシティ化が進められている。しかし、単純に機能の集約を行うことが次世代の人々にとってより良い街づくりにつながるとは限らない。これからの街づくりをおこなう上で都市機能の配置を考えることは必要不可欠である。そのためには普段生活する空間をどのように認知しているのかを知ることが必要だと考える。本研究では、認知・イメージしているまちの姿と現実空間の関係性を明確にすることで、認識される・されにくい地域、施設等の把握を行い、類似施設等がどのように相互に関わり合い、作用しあうのか、また分断されているのか要因の抽出を行っていく。
  • 神田 陽, 田中 一成
    2022 年 20 巻 p. 53-56
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
     人口減少、少子高齢化が進む現在の日本では、車と人が関わる交通事故のうち、法令違反をおこなった高齢者の占める割合が大きくなっている。そこで、本研究では、歩行者にとって安全であり、かつエリアの価値を向上させるようなまちづくり計画・設計をおこなうための基礎的研究として、横断違反者の発生箇所、特徴を明らかにすることを目的としている。動線を取得するために動画撮影を行い、滞留人口の変化と特徴的な動線についてその発生箇所、発生人数のカウントを行った。滞留の状況を時間変化でみると同時に,日ごとの差異を分析している。その結果、滞留人口が多い方が動線を制御できていない割合が少ないことが分かった。
  • - 京都市洛西ニュータウンを事例として -
    木下 太朗
    2022 年 20 巻 p. 57-60
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本稿は、都市郊外部へのバス高速輸送システム(Bus Rapid Transit : BRT)整備にかかわる事業性調査を、京都市洛西ニュータウン地域と近隣の鉄道駅を結ぶフィーダー路線を事例として実施した。本稿では、以下の作業を通じて事業性を検証した。第1に、整備ルート・運行計画案の策定を実施した。第2に、整備ルート・運行計画案をもとに、運行経費の計測を実施した。運行経費については、初期費用とランニングコストの双方を計測した。第3に、需要予測とその予測に基づく年度間運行収入・収支の計測を実施した。検討する課題はあるものの、本稿で整備を検討したルートは、採算が取れる可能性が高いルートであることがわかった。
  • - 嵐山電車軌道を対象として -
    毛藤 洸大, 阿部 大輔
    2022 年 20 巻 p. 61-64
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では嵐山電車軌道と府及び国との手続きと対応の変遷を明らかにし、都市周縁部特有の電気軌道敷設経緯を考察する。周縁部では既存市街地内と異なり、村落以外は田畑が広がっており、道路を拡幅することもなく「逃げ道」をつくることも可能で、全て道路上に敷設する必要はなかった。観光を目的としつつも、「一般交通機関」としての要素も強く、距離や文化など周縁部の近さ故に現在でもその要素が混在しやすい路線となっている。嵐山電車軌道の混在しやすさは様々な思惑が交錯した敷設過程でそれぞれの意図が認められてきたことも大きい。一方で、大半を専用軌道とし、既存村落内での軌道敷設と道路拡幅を行わなかったことは周縁部独特の状況をつくりだしているのではないだろうか。
  • - 南海貴志川線の存廃を事例として –
    荒木 一修, 松本 邦彦, 澤木 昌典
    2022 年 20 巻 p. 65-68
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    現在、地方鉄道事業者は厳しい状況に直面している。本研究は、貴志川線の存廃問題を参照しながら、市民団体が地域鉄道存続運動において効果的な活動を展開するために必要な要素と解決すべき課題を示すことを目的とする。そのために、民間事業者、自治体、市民団体へのヒアリングにより実施し、複数の市民団体の個別の役割や団体間の連携の仕方を明らかにした。その結果、地域団体が協力することで存続運動に大きな効果を発揮していることが示唆された。地域団体とは異なる役割を果たし、市民団体間の連携を円滑に行うには、その仲介役となる人が必要であることが示唆された。また、存廃問題の初期段階においては、少人数であっても当事者意識をもち行動を起こすことが重要であるとわかった。
  • 嶽山 洋志, 立田 彩菜, 光成 麻美
    2022 年 20 巻 p. 69-72
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    慶野松原は1928年に国指定文化財の「名勝」に指定、白砂青松の松林や海浜植物などのランドスケープ資産が多く存在する国立公園である。また海水浴場やキャンプ場も備えており、観光客にも人気のスポットとなっている。しかしここ数年は観光客数は減少傾向にあることから、環境を守りつつ賑わいを取り戻す観光まちづくり計画が必要となっている。本報告は慶野松原を訪問する観光客の利用実態を把握するとともに、それを踏まえた住民ワークショップを開催、観光まちづくりの方向性を示すこととした。
  • 﨑山 皓平, 佐久間 康富
    2022 年 20 巻 p. 73-76
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    近年、日本では地域産業が停滞する中、地域を活性化させる手段としての観光が必要とされている。本研究では、デジタル技術を用いた観光コンテンツにおけるCGVRを展開する企業・自治体を対象とし、観光コンテンツにおけるCGVRの実態を把握し、ユーザー調査により可能性や課題を明らかにすることを目的としている。調査の結果、可能性として、VRならではのスケール感、自分で好きなように街を回れること、良質な観光の下見、観光体験の思い起こしができることがあげられた。課題としては、VR酔い、再現度が不十分であることが挙げられた。ユーザーの意見を踏まえながら観光の疑似体験を提供するコンテンツの作成が必要である。
  • 川井 千敬, 阿部 大輔
    2022 年 20 巻 p. 77-80
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は以下の簡易宿所の変容の過程を明らかにした。1)簡易宿所営業の種別が新たに定義づけされる以前、寄場に集積した木賃宿から転じて、公的な宿泊施設として簡易宿泊所が整備された。2)1957年の旅館業法改正によって、木賃宿から転じた簡易宿泊所や風俗宿泊施設、民宿等これまで法的根拠が不在のまま営業していた宿泊施設の正常化、適法化を図った。3)簡易宿所営業には旅館営業、ホテル営業のような構造基準および最低客室数の規定がなく、高度成長期以後のビジネスホテル、民宿、ゲストハウス等新たな宿泊施設の類型を受容し、宿泊施設の多様化を促進した。4)オーバーツーリズム期には民泊が新法施行に伴って抑制された一方、簡易宿所が急増し、その性質はより企業戦略的な側面を強化した。
  • 中元 菫, 松尾 薫, 武田 重昭, 加我 宏之
    2022 年 20 巻 p. 81-84
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,堺市の高温化緩和を目指した緑地環境のあり方を探るために,メソ気象モデルWRFを用いて,2020年8月の現状の気候と「緑の基本計画」の緑の将来像図を参考とした緑地環境の保全・整備のシナリオでの気候分析を行い,それぞれの気候分析地図を作成・比較した.その結果,昼間は,海風の影響を受けにくい内陸部で面的な緑地整備による効果が大きく,沿岸部では小さかった.夜間は軸となる緑の整備による気温低減効果が明瞭に見られ,加えて現存の丘陵の保全と隣接する農地の保全・整備を行うことで,一体的な緑地環境により冷気流の効果が促進され,高温化緩和につながることが示唆された.
  • - 泉北ニュータウン・泉ヶ丘地区を事例として -
    上甲 舜華, 石原 凌河
    2022 年 20 巻 p. 85-88
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿では、泉北ニュータウンにおける緑地帯の開発の変遷について明らかにするとともに、泉北ニュータウンの居住者における緑地帯の開発年代別の緑道の景観評価を行った。その結果、開発当初から残存している緑地帯は主に池の周辺に広がっていることと、これまで緑道として整備されている緑地帯の大半がニュータウン開発後に改めて整備された緑地帯であることが明らかとなった。また、1979年以降に開発された緑道の方が居住者の評価が相対的に高いことが確認できた。泉北ニュータウン開発当初から整備されている緑道は、樹木が鬱蒼としており、明るさの問題、安全性の問題など利用者にとって利用しづらいものになっているため評価が相対的に低い傾向にあることが示唆された。
  • - 北摂三田フラワータウンの緑道を対象として -
    古賀 優夏, 阿久井 康平, 下村 泰彦
    2022 年 20 巻 p. 89-92
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    ニュータウンにおける緑道は、公園緑地や公共施設をつなぎ、安全•安心な歩行空間として整備されている。また、利用者に快適な空間を提供し、植栽も多様である。一方、樹木の老朽化や過度な成育などの管理不足により、緑道の見通しに死角が発生し、安全面に影響を与える状況も発生している。大人の視線と子どもの視線の高さは異なり、その影響は子どもにとって顕著である。本研究では、子どもの視線を考慮した緑道の安心感と快適性について捉え、緑道空間整備や植栽管理のあり方を探ることを目的とした。分析の結果、中・低木の樹高を子どもの視線の高さに抑えた植生管理、枝下高の高い高木の選定による見通し空間の確保などの重要性を示した。
  • - 兵庫県西宮市瓦木地区に着目して -
    副島 脩平
    2022 年 20 巻 p. 93-96
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
     我が国は、世界に類をみない少子高齢化の急速な進行 と戦後初めてみる人口減少を経験し、係る変化に対応した都市の再編が必要となっている。その改善する手法として市街地開発事業が挙げられる。そこで本研究では、地区の課題を把握し、いかなる解決手法を検討すべきか探るべく、アンケート調査より空間的分布特性から住民意識の実態を明らかにすることを目的とした。都市基盤整備の不満とまちづくりのテーマの重要性の意識について上ノ町と日野町に集中していることがわかった。道路の拡幅や整序は、都市再生上の観点から推進していく必要があるが、地域施設の設置と都市空間の整備という同時解決手法があるのではないかと考えられる。
  • 内海 ありさ, 阿部 大輔
    2022 年 20 巻 p. 97-100
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本稿では京都市住宅供給公社の事業を整理することで、京都市住宅供給公社が展開してきた事業の特徴を考察することを目的とする。京都市住宅供給公社の設立時から現在までの事業展開を整理した。その結果、事業の特徴は1965年から1980年、1981年から2005年、2006年以降に大別できた。京都市住宅供給公社の展開した事業の特徴は、京都市の要望や市の需要を踏まえ、民間事業者のみでは遂行が困難な住宅を供給してきた点にある。ニーズがあるにもかかわらず民間事業者や市のみでは遂行が困難な事業を補完的に展開し空白部分を埋めることで、京都市の住宅政策に寄与してきたと言える。
  • - グラスゴーにおける空地の暫定利用プログラムStalled Spacesを対象に -
    田中 智朗, 阿部 大輔
    2022 年 20 巻 p. 101-104
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本稿は、スコットランドのグラスゴーにおいて実施された、市民による未利用地の暫定利用を支援するプログラムStalled Spacesに着目する。本稿は、Stalled Spacesの制度的枠組みの特徴を明らかにするとともに、そこでの活動、土地利用がいかに変容したかを整理する。調査の結果、実施されたプロジェクトは①短期・長期プロジェクトが同じ枠組みで実施されている②農的利用が約6割を占める③対象敷地の約6割が公有地であること、が明らかとなった。また実施された半数以上のプロジェクトは暫定利用の状態が継続しており、終了しした事例についても、荒廃した土地が改善した例や、新たなに移行するなど空地・荒廃地の改善に寄与する一面が見られた。
  • 関根 仁美, 角保 智也, 武田 裕之, 加賀 有津子
    2022 年 20 巻 p. 105-108
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本研究では、人々が地域に愛着を感じる理由に着目し、地域愛着を形成する要素と高める要素を調査した。また人々を自己観と地域観により分類し、地域愛着の理由や地域へのインパクト志向を調査した。その結果、地域愛着の形成には出身地であること、地域愛着を高めることには主観的利便性評価の高さが影響することを示した。また、協働型は愛着度が高く肯定的な愛着理由を多く挙げ、地域へのインパクトを志向する傾向にある一方、同程度の愛着を持つ享受型では地域へのインパクト志向性は確認されず、地域活動の動機として地域愛着を議論する際には、関係スタイルに分類して検討する必要があることを示唆した。
  • 齋藤 真奈夢, 室﨑 千重, 近藤 民代, 西田 極
    2022 年 20 巻 p. 109-112
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本研究は、多拠点生活サービスの仕組み・方針による、空き家所有者の気がかり解消と活用意義の実感を調査する。多拠点生活サービスADDressの仕組みである「拠点管理人」は、拠点近くに住み、自治体・地域住民と共に活動し、所有者と継続的に交流することから、所有者の管理負担の減少と、他人に貸す不安の減少が期待できる。方針の「地方創生」は、地域に迷惑をかけたくない所有者が活用に取り組みやすいと推察する。まちづくりの意識を持つ拠点管理人によって、地域の意識・行動に変化がみられる。拠点化後に所有者が定期的に拠点を訪問するなど、継続的な交流によって拠点・地域・生活の変化の認知ができ、空き家活用の意義を実感する可能性がある。
  • 西田 極, 近藤 民代, 室﨑 千重, 齋藤 真奈夢
    2022 年 20 巻 p. 113-116
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿の目的は次の二つを明らかにすることである。1.多拠点居住プラットフォームを介した拠点と地域住民との関わりを通して地域住民にどのような変化が生まれるのか。2.拠点ごとの「地域住民と拠点との関わりを促すための拠点管理人による活動」と、「地域に対する拠点の場としての設え」がどのように地域住民の変化に関わるのか。地域住民に生まれる変化として明らかになったのは地域外住民への受け入れ意識、地域の魅力の再発見、地域への誇りの涵養といった意識の変化や地域活動への参加等の行為の変化である。地域住民の変化の発生に関わる要素として明らかになったのは「拠点管理人が地域において行う活動に協同主体が存在すること」、「拠点に地域に開かれた空間が存在すること」である。
  • - 淀川両岸一覧に見られる名所化の構造 -
    天野 愛希, 加嶋 章博
    2022 年 20 巻 p. 117-120
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本研究の目的は、名所図会の図会(イメージ)と解説(テキスト)に記載されるすべての場所を一貫した名所として取り上げ、どのような視点から名所として位置付けられているかを明らかにすることにある。本稿では、『淀川両岸一覧』を題材として取り上げ、ある特定の名所が、どのような地理的範囲にある他の地点と関連付けられて説明されているかに着目する。その空間スケールの特徴を通して、当時の名所化の構造についての分析を行い、特徴を抽出する。名所図会における河川沿いに展開した名所の線的繋がりに着目することで、広域な文化的、技術的繋がりを考察し、テリトーリオの観点を踏まえた地域資源の価値付けに資する知見を得ることを目的としている。
  • 山石 季沙, 松本 邦彦, 澤木 昌典
    2022 年 20 巻 p. 121-124
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
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     本研究では、歴史的町並みを有する観光地において、域外資本店舗が画一的な印象を与えるファサード構成要素の状 態を明らかにすることを目的とした。評価構造を把握するため、評価グリッド法を用いた印象評価実験を行った。実験の結果、被験者は観光地景観に「特別感」と「安心感」が感じられたときに景観を「好ましい」と評価することが明らかになった。域外資本店舗による、地区のイメージと合致しない商品の取扱、写真やキャラクターを使用した過剰に内容を演出した広告とその過剰な掲示が、「宣伝が誇大だ」「工夫が感じられない」「安っぽい」と感じられ、これらの評価項目が「特別感」に反する「どこにでもある」という印象形成に寄与していることが明らかになった。
  • - 先斗町を対象として -
    野口 美咲, 山崎 正史, 岡井 有佳
    2022 年 20 巻 p. 125-128
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
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     先斗町は京都の歴史的な町並みの一つであるが、建て替えなどにより歴史的な町なみを喪失しつつある。本研究では、先斗町通りに現存する歴史的建築物の形態意匠調査と、町並みの変化の調査を行った。歴史的建築物調査で、お茶屋は他地区と同じA型、この地区にだけ見られる2階後退のB型、C型が見られた。B,C型は狭い道で光を得るための工夫と思われる。また、同エリアで1972年以降に建築確認がなされた建築物を調査し、それを町なみと調和しているか点数付けをした。2009年以降、町なみを残すため建て替えない工夫が見られる。今後、大火災など一斉に被害を受けることを考えて、建築基準法42条3項道路の指定を提案した。
  • 井上 未夢, 松尾 薫, 武田 重昭, 加我 宏之
    2022 年 20 巻 p. 129-132
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
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     本研究では、大阪市景観計画において、水・緑が豊かなうるおいのある大阪らしい景観の一つとして位置付けられている中之島を対象に、水と緑の視点からの景観評価を通じて中之島らしさを探ることを目的とした。2021年10月に撮影して得られた1,804枚のうち水と緑が見える景観写真を解析対象とし、中之島内・外からの流軸景と対岸景の方向別に分類した。水と緑の出現形態を組み合わせて景観の構図を捉え、景観評価を行った。その結果、流軸景では両側の水と緑によって奥行き感のある眺望景観に加え、床面や帯状の水面が背景として緑を引き立たせている景観、対岸景では、水と緑の重畳的な景観や緑によって水面が強調される囲繞景観が中之島らしさを支えていることが分かった。
  • 横村 優, 松尾 薫, 武田 重昭, 加我 宏之
    2022 年 20 巻 p. 133-136
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/25
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     本研究では、特徴の異なるパブリック空間が同一地区内に存在する茶屋町地区を対象に、滞留利用実態を把握することで、パブリック空間の使われ方の特性を探った。滞留利用実態は、平日・休日の各時間帯に調査員によるルートセンサス調査を2021年10月に実施し、平日・休日、時間帯ごと、次いで空間種別ごとに集計して捉えた。結果、茶屋町地区のパブリック空間は、平日・休日や時間帯ごとに利用の傾向が異なり、様々な利用者層を受け入れていること、また長時間落ち着いて滞留するような利用も受け止めている空間や主に一時的な滞留を支えている空間など、空間特性の違いに応じた異なる利用が確認でき、地区で過ごす人々のそれぞれの利用目的を地区全体で受け止めていることが明らかになった。
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