日本トレーニング指導学会大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-3323
Print ISSN : 2433-7773
第10回日本トレーニング指導学会大会
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口頭発表
大学男子バスケットボール選手における異なるフィードバック方法を用いたランニングジャンプ動作指導の即時的改善効果の相違
*早田 亘輝笹壁 和佳奈下河内 洋平
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p. O02-

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抄録

【トレーニング現場へのアイデア】 アスリートがトレーニングで得られた効果を実際の競技動作に最大限転化させるためには、 適切な競技動作の習得が重要である。スマートフォンなどのハイスピードカメラの映像を 用いた視覚的フィードバックは、適切な競技動作の習得や改善のため指導に有用である。 背景:スマートフォンのハイスピードカメラは誰でも手軽に使用できるツールである。そ こで本研究では、大学男子バスケットボール選手を対象とし、口頭およびスマートフォン のハイスピードカメラを用いた視覚的フィードバックと、口頭のみのフィードバックがラ ンニングジャンプ(RJ)の即時的な跳躍高向上や動作改善に与える影響を検証した。 対象者:大学男子バスケットボール選手 10 名(身長:179.7±7.4cm、体重:74.2±8.5kg、 年齢:19.4±0.8 歳)を対象とし、Oral & Visual Feedback 群(OVF 群)とOral Feedback 群 (OF 群)にそれぞれ5 名ずつ分けた。 測定環境:体育館 測定手順及び分析方法:対象者はRJ を行い、その動作をスマートフォン(iPhone11, Apple Inc., CA)のハイスピードカメラ(240 fps)により撮影した。そして、予め設定したRJ の助 走および踏切動作に関する合計5 つの動作改善ポイントを評価するため、動画再生ソフト (QuickTime Player ver.10.5, AppleInc., CA)のコマ送りおよび画像コピー機能を使用し て各対象者のRJ の連続写真を作成した。OVF 群に対しては、この連続写真と口頭により動 作改善ポイントをフィードバックし、OF 群に対しては口頭のみで動作改善ポイントをフィ ードバックした。その後、各対象者には指摘した動作改善ポイントを修正するように意識 させながら再びRJ を行わせてその動作を撮影し、同様の方法で動作評価を行った。また、 映像のコマ数から算出した跳躍の滞空時間から跳躍高を算出した。対応の無いt 検定によ り跳躍高の変化率の群間差を検証した。さらに、5 つの動作改善ポイントにおいて改善した 数を被験者ごとにカウントし、群間比較を行った。 結果:跳躍高を比較した結果OF 群の向上率が7±2%であったのに対し、OVF 群の向上率が 14±5%と有意に大きな値を示した(p < 0.05, effect size d = 1.84)。動作改善数は、OV 群が2~4 個であったのに対し、O 群は1~2 個であった。 考察:本研究の結果、口頭のみで選手に動作改善ポイントを伝えるよりも、視覚的フィー ドバックも同時に提供した方が、動作改善効果およびパフォーマンス向上効果は高いこと が示された。したがって、スマートフォンのハイスピードカメラを用いた動作撮影とその 映像を利用した選手へのフィードバックは現場における動作指導に積極的に活用すべきで ある。

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