抄録
【トレーニング現場へのアイデア】本研究の結果、小学生を対象としたジャンプトレーニ
ングにVBT が有効であると示唆された。近年、様々な競技において、基礎体力が低い小学
生が多くみられる。また、コロナ渦において運動頻度が下がることで基礎体力の低下が進
んでいる例がみられる。しかし、小学生を対象に高重量のレジスタンストレーニングを行
うことは難しい。本研究では小学生に対して週に1度の頻度で、効率良くパワーを向上さ
せるため、VBT 理論を活用したトレーニングでキューイングしつつ、最大努力を引き出す
ことを試みた。
背景:小学生におけるトレーニングは、明確な根拠がないものの慣例的に高重量で行うこ
とが敬遠されている。しかし、競技開始年齢の低年齢化により基礎体力向上の重要性は高
まっていると考えられる。また、基礎体力には、走る・跳ぶ・投げるに相関があるパワー
が重要であると考えられる。そこで、本研究ではPUSH2.0 を活用し、Velocity BasedT
raining を行うことで、小学生の跳躍パワー向上を試みた。実践報告の目的:週に1度の
VBT 理論を活用したジャンプトレーニングが小学生のパワー発揮に与える影響の検証を目
的とした。対象者:地域の野球少年団に所属する小学生三名を対象とした。対象の身体的
特徴は年齢:10.3±0.5 歳、身長:139±1.4cm、体重:38±1.4kg であった。測定環境:
剣道場を利用し、シューズを着用して測定およびトレーニングを実施した。測定手順及び
分析方法:実践期間は、2021/1/5 から2021/3/16 であった。測定は2021/1/5 と
2021/3/16 に行った。トレーニング期間中、週に1度の頻度でPUSH2.0 を利用したジャン
プトレーニングを行った。パワーの測定は、ウォーミングアップを行った後、PUSH2.0 を
用いて、カウンタームーブメントジャンプ‐アームスイングの跳躍高を記録した。試技は
3 回行い、最も高いものを採用した。トレーニングの際には、実施をしない者が測定数値
を読み上げ前向きな声かけとともに数字を読み上げることを指示した。トレーニングは、
スクワットジャンプ、カウンタームーブメントジャンプ、カウンタームーブメントジャン
プ-アームスイングを各6 回3 セット実施した。
結果:9 週間、週に1度のトレーニングを実施した結果、カウンタームーブメントジャン
プ-アームスイングの跳躍高がトレーニング前27.6cm であったのに対して、トレーニング
後33.4cm(21.23%向上)なった。また、9 週間の間、痛みの訴える対象はいなかった。
考察:本研究において、小学生において、VBT 理論を活用したトレーニングを行うこと
で、跳躍におけるパワーが向上することが示唆された。また、毎回のトレーニングにおい
てジャンプした結果がリアルタイムで数値としてあらわることが、トレーニングの効果を
高めたと考えられる。