日本トレーニング指導学会大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-3323
Print ISSN : 2433-7773
第10回日本トレーニング指導学会大会
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ポスター発表
女子バレーボール選手の跳躍能力の特性 ~跳躍能力のタイプ分類と個別プログラムへの活用に向けて~
*有賀 誠司藤井 壮浩小澤 翔
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p. P03-

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抄録

【トレーニング現場へのアイデア】その場でしゃがんでから跳び上がるカウンタームーブ メントジャンプ能力の指標となる「垂直跳びの跳躍高」と、連続的なリバウンドジャンプ 能力及びいわゆる「ばね能力」の指標となる「リバウンドジャンプ指数(以降RJindex) 」の2項目の測定結果から、チーム平均値を基準としたマトリクス図を作成し、4 つのタイプに分類したところ、ポジションとの関連性が見出された。今後、本分析法は、 個別のトレーニング方針やプログラム作成の資料として活用できる可能性がある。 背景と実践報告の目的:バレーボール競技において、跳躍動作は、スパイク、ブロック、 ジャンプサーブ、ジャンプトスなど様々な局面にみられる。これらの跳躍動作の形態はプ レーによって異なることから、ポジションや個人のプレースタイルに応じた特有の跳躍能 力が形成されている可能性があると考えられる。本報告では、女子バレーボール選手の垂 直跳とRJ-index の特性を明らかにするとともに、これらのチーム平均値を基準としたタ イプ別の分析を試み、跳躍能力向上に向けたトレーニング処方に関する基礎資料を得るこ とを目的とした。対象者または対象チーム:本研究の対象は、関東大学バレーボールリー グ1 部に所属するT大学バレーボール部に所属する女子選手37 名であった。全対象は半 年以上の定期的な筋力トレーニングの経験を有していた。測定環境:測定は練習を実施し ている体育館及びトレーニング施設において実施した。測定手順及び分析方法:垂直跳、 助走付垂直跳、RJ-index の測定を実施した。垂直跳びと助走付垂直跳びは、Swift 社製可 動型跳躍高測定器「ヤードスティック」を用い、2 回の測定を実施し、高い数値を測定値 として採用した。RJ-index は、Q'sfix 社製マットスイッチ計測システム(マルチジャン プテスタ)を用い、国立スポーツ科学センターのフィットネス・チェック・マニュアルの 方法に基づいて実施した。結果と考察:垂直跳とRJ-index の測定結果の平均値に基づ き、垂直跳とRJ-index の2 項目の測定値がともに平均値以上であった「両方上位群」、垂 直跳の測定値が平均値以上でRJ-index の測定値が平均値未満であった「CMJ 優位群」、垂 直跳の測定値が平均値未満でRJ-index の測定値は平均値以上であった「RJ 優位群」、2 項 目の測定値がともに平均値未満であった「両方下位群」の4 群に分類して分析を行った。 その結果、RJ 優位群に属するミドルブロッカーとセッターの選手の割合は0%であった。 一方、ウイングスパイカーでは、RJ 優位群及び両方上位群53%、CMJ 優位群13%、両方下 位群が33%であり、ばらつきがみられた。本研究で採用した垂直跳びとRJ-index のチー ム平均値を基準としたタイプ分類は、女子バレーボール選手の跳躍能力の特性を把握する ための手段として、また、跳躍能力の向上を目的とした個別性を考慮したトレーニングプ ログラムを作成する際の一手法として利用できる可能性が示唆された。

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