日本トレーニング指導学会大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-3323
Print ISSN : 2433-7773
第11回日本トレーニング指導学会大会
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ポスター発表
サッカーの多様なポジションに即したトレーニングのニードアナリシス
*山田 庸
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 25-

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抄録
【トレーニング現場へのアイデア】 従来のサッカーのポジションは主にフォワード、ミッドフィルダー、ディフェンス、ゴールキー パーという4つに分類されトレーニングが設定されているが、細分化すると16種類のポジショ ンが規定されたことから、体力的にも技術的にもトレーニングには多様性が必要であり体力ト レーニング内でもポジションの変更やメニューの追加・変化を伴うべきである。また、攻撃ポ ジションと守備ポジションが異なるため攻守の切り替えに必要な無酸素系トレーニングを推奨 したい。また、特にインサイドに位置する選手に対しては5mから15m前後の加減速を連続する メニューを、フォワード、サイドミッドフィルダー、センターミッドフィルダーには前線のプ レスを想定した20m以上のスプリントを繰り返すトレーニングを提案したい。 背景:サッカーの体力トレーニングは近年技術・戦術的要素を含む方法が行われており、トレー ニング課題を明確にするためには、ポジションごとの技術・戦術特性を詳細に把握することが 重要である。試合中でのポジション変更が頻繁に行われるため各選手に求められるパフォーマ ンスや必要な体力要素も一定ではなくなっている。実践報告の目的:サッカーにおけるポジ ションの種類と求められる技術・戦術・体力的要因を集約しトレーニングのためのニードアナ リシスを行うことを目的とした。対象者:対象者は日本サッカー協会のB級ライセンス以上を 有する関西学生1部リーグ所属チーム指導者4名とした。測定環境:プロ選手を毎年輩出して いる公認S・A・B級コーチ、AFCフィットネス資格保有者に対して自由に意見交換できる環境で ある。測定手順及び分析方法:近年のサッカーの戦術システム情報について参考資料から集約 した上で、ポジション特性と必要な技術・戦術・体力的要素についてインタビューガイドを作 成し、1vs1のインタビューを実施した。言語化された情報はKJ法を用いて集約した。結果:主 要リーグで用いられている基本システム7種から16種類のポジションが規定された。さらに、 攻守でのポジション変化により主に攻撃面で2つのポジションを兼ねることがあると想定され た。サッカー選手のポジションに必要とされる体力として、スピード、パワー、敏捷性、間欠 的持久力、コンタクトを含むスキル・調整力が示された。考察:ポジションによって必要とな るスプリント距離やスピードが異なり、ポジション変更に耐えうる体力的多様性が必要である ことが提示された。特にサイドバック、サイドミッドフィルダーはピッチ中央や前線への試合 中のポジション変更が活発であり従来のフィットネスに加え加減速の要素や視野を確保し相手 を振り切る細かいステップが要求されると考えられる。また、前線からのプレスがさらに要求 されるためフォワードの運動量や加減速がより求められると考えられる。
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