日本トレーニング指導学会大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-3323
Print ISSN : 2433-7773
第11回日本トレーニング指導学会大会
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ポスター発表
ジュニアトップレベルの男子体操選手と野球選手の形態と体力の特徴
*片山 未来島 典広
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 26-

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抄録
【トレーニング現場へのアイデア】上肢の活動量が多い野球選手と比較することでジュニアトッ プレベルの体操選手の特徴を明らかにした。 背景:アスリートにとって身体組成は競技力向上に影響を与える要因の1つである。特定の競 技を実施している者はその競技を反映した身体形態の特性を有する。実践報告の目的:本研究 はジュニアトップレベルの体操選手の特徴を上肢の活動量が多い野球選手と比較し、体操選手 に必要とされる身体的特徴や体力要素を明らかにすることを目的とした。 対象:愛知県内のジュニア体操クラブに所属する中学3年生(2022年2月時点)の男子選手2名 と高校硬式野球部に所属する1年生(2022年6月時点)の男子選手11名を対象とした。体操選手 は西日本ジュニア選手権で個人総合および種目別において優勝または入賞するレベルであっ た。測定環境と手順:身体組成として体脂肪率、脂肪量、除脂肪量、筋量を生体電気インピー ダンス法で測定した。また運動能力・体力要素として走力、握力、背筋力、ジャンプ能力を計 測した。走力は光電管を用い、競技特性に合わせて計測を行った。体操選手は約20mの跳馬の 助走速度を計測し、10m間(跳馬の踏切前0mから10m)を採用した。野球選手は30m走を測定し、 10m間(20mから10mの通過タイムを引いた)を採用した。握力と背筋力はデジタル計測器を用い、 最大値を採用した。カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)と連続リバウンドジャンプ(RJ)は ジャンプ計測装置を用い、跳躍高、RJ指数、接地時間の最大値を記録した。分析方法:野球選 手の測定値(平均値)からジュニアトップレベルの体操選手の個人特性(平均値からの差)を 検討した。 結果:ジュニアトップレベルの体操選手の下肢の身体組成については野球選手の平均値相当で あったものの、上肢(A選手11.8%、B選手18.8%)・体幹(A選手3.0%、B選手7.5%)の体脂肪率は野 球選手の上肢(31.21±8%)・体幹(16.1±6%)のそれよりも低値を示した。10m間の疾走タイムや CMJの跳躍高に差は見られなかったものの、体操選手のRJ跳躍高(A選手37.5cm、B選手39.4cm) と背筋力(A選手174.5kg、B選手187.5kg)は野球選手(RJ跳躍高26.8±5cm、背筋力113.3±16kg) よりも高値を示した。A選手の握力(右44.4kg、左53.0kg)は、野球選手(右42.4±6.4kg、左 39.2±.4.9kg)より高値を示した。 考察:トップレベルの体操選手の特徴は、上肢・体幹の脂肪率の少なさや筋量の多さに加えて、 連続ジャンプ(RJ)の高さと背筋力の強さであった。野球選手は投球やバッドスイングなどで上 肢の活動量が多いと思われるが、トップレベルの体操競技はそれ以上に十字懸垂や倒立など上 肢筋群の活動量が多かったと考えられる。一方、跳馬や床でダイナミックな演技を行うには、 特徴的に下肢筋量も多いと考えたが、野球選手と比較して差が見られなかった。
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