日本トレーニング指導学会大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-3323
Print ISSN : 2433-7773
第12回日本トレーニング指導学会大会
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口頭発表
1軸フォースプレートを用いたカウンタームーブメントジャンプ測定評価方法の考察
*池田 克也岡元 翔吾田中 修二山﨑 和也新地 弘太郎金戸 華山下 大地
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p. 8-

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抄録
【トレーニング現場へのアイデア】1軸フォースプレート(FP)を用いてカウンタームーブメン トジャンプ(CMJ)測定を行う際は、測定目的に応じてしゃがみ幅を規定したうえで「できる だけ素早くかつ高く」という統一した教示を与え、同じく測定目的に合致した複数の指標を用 いて評価することが推奨される。背景:近年、跳躍高だけでなく動作中の力やパワー、変形反 応筋力指数(mRSI)なども併せて評価できる1軸FPを用いたCMJ測定が注目されている。しかしFP を導入している現場はまだ少なく、その方法に関する情報も不足している。実践報告の目的: エリートアスリートを対象とした1軸FPを用いたCMJ測定評価の方法を共有する。対象者:8競 技160名(男性96名 / 身長:186.2 ± 10.8 cm、体重:85.6 ± 13.4 kg、女性64名 / 身長: 170.6 ± 10.7 cm、体重:65.9 ± 10.6 kg)の競技団体強化指定選手。測定環境:国立スポー ツ科学センター内トレーニングジムまたはハイパフォーマンスジム(HPG)にて、トレーニング セッション内または測定セッションの形式で実施した。測定手順及び分析方法:1軸FP(Hawkin Dynamics社製)を用いてCMJP(膝が90°屈曲になる深さまで勢いよくしゃがみ、その反動を使 ってできるだけ高く跳ぶ)およびCMJQ(しゃがむ深さは任意とし、できるだけ素早くかつでき るだけ高く跳ぶ)の2種類のCMJ測定を実施した。測定は選手によって週1回から2~3か月に1 回まで異なる頻度で行い、1回の測定あたり3~5試行実施した。各選手とも力積法によって算 出される跳躍高(JH)が最も高かった試行のJH、しゃがみ幅(depth%)、動作時間(TTT)、mRSI、 減速局面のピークフォース(PBF)およびRFD(BRFD)、減速/推進局面のピークパワー(PBP、 PPP)および力積(BIMP、PIMP)を分析に使用した。CMJPおよびCMJQの各指標間で対応のあるt検 定を行い、効果量(Cohen’s d )を算出した。CMJPおよびCMJQにおけるmRSIとJH、TTTとの相 関分析を行った。結果: CMJPではJH(d = 1.10)、depth%(2.11)、TTT(1.69)、BIMP(0.51)、 PIMP(0.95) がCMJQよりも有意に高く、CMJQではmRSI(2.10)、PBF(1.11)、BRFD(1.28)、 PBP(0.49)、PPP(0.86)がCMJPよりも有意に高くなった(すべてp < 0.01)。CMJP、CMJQとも mRSIとJHとの間に非常に強い関係性(r = CMJP:0.84 、CMJQ:0.81 )が見られたが、mRSIと TTTとの間には強い関係性は見られなかった。考察:時間的制約を必要としないジャンプ動作 のとりわけ推進局面の力発揮を評価したい場合は、比較的深くしゃがむよう指示し跳躍高や力 積を用いて評価することが有効と考えられる。一方、時間的制約を必要とするジャンプ動作の とりわけ切り返し能力を評価したい場合は、動作をより素早く行うよう指示しピークフォース やピークパワー、RFDなどを用いて評価することが有効と考えられる。また、しゃがみ幅が浅 すぎるとmRSIが大きくなってしまうため、素早くかつ高く跳ぶ能力を評価したい場合は、しゃ がみ幅を規定したうえで跳躍高と動作時間の両方の変化を合わせて評価すべきである。
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