日本トレーニング指導学会大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-3323
Print ISSN : 2433-7773
第13回日本トレーニング指導学会大会
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口頭発表
Modified Star Excursion Balance Testにおける最大リーチ距離と荷重時背屈可動域の関係性についての検証
*高野 将伍中村 駿一篠原 純司
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p. 12-

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抄録
【現場へのアイデア】Modified Star Excursion Balance Test(以下、mSEBT)とは、 片脚立位 時における遊脚のリーチ距離を測定し、動的姿勢制御を評価するテストである。簡易な準備で 測定可能であることから、研究だけでなくフィールド上での測定にも広く用いられている。し かし、筆者らの研究活動やスポーツ現場でmSEBTを測定した経験から、mSEBTにおける評価は背 屈可動域と深く関連していることが予想され、動的姿勢制御の測定という定義は適切ではない 可能性が推察される。本研究の結果は、mSEBTから得られる測定値の意味をより深く理解する ために有用であると考える。 【目的】本研究では、mSEBTと荷重時背屈可動域の関係性を明らかにし、mSEBTにおける評価の 意味を再考することを目的とした。 【方法】 測定環境:大学内講義室。 測定参加者:健康な大学生男子サッカー選手120名240脚(年齢:19.78±0.79歳、身長: 173.54±5.79cm、体重:66.76±5.75kg、競技歴:12.33±2.05年)。 除外基準は1)神経筋系の 疾患がある場合、2)三半規管の疾患がある場合、3)脳振盪を6か月以内に起こしている場合、 4)その他、姿勢制御に影響を及ぼすケガや疾患を有している場合とした。 測定方法:mSEBT は1本の角材に爪先で押すことができるスライダーを装着し、レーザー距離 計にて最大リーチ距離を測定した。前方、後内側、後外側の3方向への最大リーチ距離を3回測 定し、各方向の平均値を算出した。平均値は脚長で除し標準化して分析に使用した。荷重時背 屈可動域はWeight Bearing Lunge Test(以下、WBLT)を用いて評価した。WBLTは、壁を0cmとし て垂直にメジャーを床に張り、その上で前方ランジを行い、踵が浮かずに壁に膝が接する最大 距離を測定した。 統計解析:mSEBTの各方向とWBLTとの関係についてピアソンの相関係数(r)を算出した。有意 水準は5%未満とした。 【結果】WBLTと前方mSEBT(r=0.45, p=0.001)は中程度の正の相関を示した。WBLTと後内側 mSEBT(r=-0.035、p=0.59)、 WBLTと後外側mSEBT(r=-0.029、p=0.66)に有意な相関はなかった。 【考察】本研究の結果、mSEBTにおける前方最大リーチ距離とWBLTに中程度の相関があることが 示された。このことから、前方mSEBTは動的姿勢制御に加えて、荷重時背屈可動域が関係する 総合的な機能評価である可能性が考察された。今後は慢性足関節不安定症を有する対象者に基 づく検証が必要である。
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