抄録
Infliximabは,用法・用量の増加・短縮が認められたものの,段階的に増量する方法や,投与間隔の短縮に対する有効性,安全性については,日本人におけるエビデンスがない.福岡RA生物学的製剤治療研究会では,増量あるいは投与間隔を短縮した際の,DAS28スコア改善効果や低疾患活動性の維持効果について検討した.今回,増量後6ケ月を経過した38例についてまとめた.男28.9%,女71.1%,平均年齢56.2歳,罹病期間は平均13.4年と罹病期間は長い症例が多く,MTX併用量平均7.7mgで,SteinbrockerのStageはⅠ:2.6%,Ⅱ:15.5%,Ⅲ:23.7%,Ⅳ:57.9%と進行例が多く,Classは1:2.6%,2:52.7%,3:42.1%,4:2.6%で,ステロイドの併用率は81.3%であった.結果:増量前と6ケ月後のDAS28の平均は,4.6から3.6へ有意(p<0.001:t検定)に低下した.増量前全て中疾患活動性以上を示していたが,6ケ月後は,低疾患活動性10例(26.3%),寛解症例が7例(18.4%)と,全体の約45%の症例が,低疾患活動性以下と明らかな有効性が認められた.副作用発現頻度は低く,IFXの段階的な増量は,より高い治療目標達成の実現に期待できる結果であった.