目的:我が国のように多数回の新型コロナワクチン接種を受けた際に,関節リウマチ(RA)患者の抗体価上昇に関与する因子は充分に明らかとはなっていない.そこで,RA患者と年齢と性別をマッチさせたコントロール群の抗体価を比較するとともに,抗体価に与える各種要因の影響を検討した.
対象と方法:RA患者446名とコントロール群30名を対象にヌクレオチド(N)およびスパイクタンパク(S)抗体価を測定し,ワクチン接種回数・接種日時・使用薬剤などを調査した.両群間の比較及びRA群では使用薬剤の影響も検討した.また,S抗体価を従属変数とした重回帰分析も行った.なお,新型コロナ既感染者と新型コロナワクチン非接種者は解析対象から除外した.
結果:RA群(中央値8.58[四分位範囲7.56,9.35]U/ml(自然対数変換))とコントロール群(8.83,[7.98,9.49])間にS抗体価に有意な差は認めなかった(p=0.472).RA患者では,加齢とともにS抗体価は上昇し(Spearman順位相関,ρ=0.158,P=0.004),高齢者においてワクチン接種回数は多い傾向にあった.ワクチン接種回数が増すとS抗体価も有意に増大したが,4回でプラトーに達していた.プレドニゾロン使用者で非使用者に比してS抗体価は有意に低く(P=0.023),分子標的薬使用者では非使用者に比して抗TNF(Tumor necrosis factor)製剤使用者が有意に(P < 0.001)低いS抗体価を示した.重回帰分析の結果では女性であること・最終ワクチン接種日からの日数・bDMARDおよびプレドニン使用がS抗体価に与える有意な要因であった.しかし,メトトレキサート(MTX)使用の影響は認めなかった.
結論:bDMARDs(抗TNF製剤)およびプレドニゾロン使用RA患者ではワクチン接種後S抗体価上昇は抑制されたが,MTX使用の影響はなかった.
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