臨床リウマチ
Online ISSN : 2189-0595
Print ISSN : 0914-8760
ISSN-L : 0914-8760
最新号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
誌説
特集 リウマチ看護の進歩
  • 房間 美恵
    2025 年37 巻1 号 p. 9-16
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/06
    ジャーナル フリー

     リウマチ医療のパラダイムシフトと共に看護師の役割にも大きな変化が生じ,2012年,慢性炎症性関節炎の管理における看護師の役割についてのEULARリコメンデーションが提唱された.その後,チーム医療,エビデンスに基づくリウマチ看護,Shared decision- making(SDM)の3つの基本的な考え方が追加された2018年版が発表され,国内外でのリウマチ看護の指標となっている.8つの推奨事項では,包括的な疾患管理への参画や自己効力感の向上に向けての自己管理支援,ニーズに応じた患者ケアや患者満足度の向上,心理社会的支援など,全人的な人中心のケアが求められ,また看護師への継続的な専門教育の必要性も示されている.

     一方,看護師の役割の実践には多くの課題がある.知識不足や医師とのコミュニケーションや連携不足,時間や人員不足,専門教育など体制の問題,特にインセンティブの問題は看護師の専門性を生かす上での障壁となっている.また,患者の“言いづらさ”などセルフスティグマを理解できないと患者の本音が引き出せずSDMは難しい.さらに患者は自己のアイデンティティを維持するために社会生活を制限する可能性があり,これらを理解しレジリエンスを涵養するうえでも看護師の役割は大きい.看護師がこれらの役割を実践する上で,継続的な専門教育やチーム医療の推進,支援体制の確立,体制や制度の整備,など周囲の理解と協力が必要である.

  • 松村 陽美, 樋上 聡美, 樋上 謙士
    2025 年37 巻1 号 p. 17-25
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/06
    ジャーナル フリー

     関節リウマチ(RA)は,目標達成に向けた治療戦略であるTreat to Target(T2T)により早期から積極的に治療介入を行うことで,寛解の達成が可能となってきている.薬物治療は,メトトレキサート(MTX)を中心とした従来型抗リウマチ薬に加え,生物学的製剤やJAK阻害薬などの分子標的治療薬の飛躍的な進歩により選択肢も増えている.進歩した薬物治療は高い関節破壊抑制効果を示す一方で,効果減弱による再燃,感染症などの副作用により治療変更を余儀なくされることもある.また,患者の疾患や治療に対する理解不足,薬の副作用に対する不安,経済的問題などが,服薬アドヒアランスや自己注射実施率の低下,治療中断につながることもある.治療を継続し,その効果を最大限に得るためには,患者と医療者が協働的意思決定(Shared decision-making; SDM)に基づき,個々の患者に即した治療目標を共に決定し,最適な治療を進めることが重要である.看護師は,RA診療において多職種を繋ぐ役割がある.患者と良好なコミュニケーションを図ることで得られる様々な情報を多職種と共有することは,SDM実践において不可欠である.また,患者が治療を安全に継続していくためには,看護師もRA治療と個々の治療薬の特徴を十分に理解することが大切であり,専門的知識と技術を得ることで自己注射に伴うトラブルや副作用などに早急に対処することができる.さらに,患者自身の自己管理能力の向上も治療継続には不可欠であり,看護師は十分な知識と経験をもとに患者教育の一役を担うことが求められる.

  • 浜﨑 美和, 堀川 新二, 松浦 江美, 折口 智樹
    2025 年37 巻1 号 p. 26-32
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/06
    ジャーナル フリー

     関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)は,関節の炎症により疼痛や腫脹が生じるとともに,軟骨や骨が破壊され,関節が変形し,機能障害をきたす疾患である.2003年に生物学的製剤が国内で承認されたことにより,患者の治療目標は,臨床的寛解,機能的寛解,良好な健康関連QOLの維持が目指せるようになった.さらに,患者と医師の間で共有される意思決定の原則に基づくtreat-to-target(T2T)「目標達成に向けた治療」が推奨されている.つまり,患者は正しい知識と情報をもって治療に参加することや継続的なセルフケア能力が求められるようになった.

     RA患者は,高齢者の増加や生物学的製剤・JAK阻害薬などの使用により感染症リスクが高く,手洗いや衛生管理,ワクチンの予防接種の推奨,感染症の早期発見と治療などの感染症対策が必要である.また,RA患者の歯周病罹患率は一般集団と比べて高く,口腔内環境の不良が歯周病やRAの疾患活動性を悪化させることから,口腔内の観察や意識づけ,口腔清掃用具の検討といった口腔ケアが必要である.さらに,RA患者の骨粗鬆症の有病率は,一般集団に対して2倍に上昇することが報告されていることから,食事や日光浴,運動などの骨粗鬆症予防が必要である.しかし,RA患者にエビデンスに基づいた個別性のある患者支援を行うには,エビデンスが十分とは言えない.今後,看護支援のエビデンスのための看護研究が求められる.

  • 小橋 靖子, 堀田 昌宏, 西田 圭一郎
    2025 年37 巻1 号 p. 33-39
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/06
    ジャーナル フリー

     近年の関節リウマチ(RA)に対する薬物治療の発展に伴い,RAの手術は減少してきているという報告がある.また,人工関節の手術にかわって,手関節・手指や足趾といった小関節の手術が増加してきているとの報告もある. 術式も関節非温存手術から,関節温存手術へのシフトや人工足関節置換術・人工手関節置換術等高い専門性を要する手術も増加してきており,一定の医師のもとに患者が集約される場合も少なくない.近年では,b/tsDMARDs使用下での手術が増加してきており,寛解であっても,限局した部位の手術を希望する患者も少なくない.また,少なからず,Difficult-to-treat rheumatoid arthritis(D2T RA)も存在し,関節破壊に対して外科治療の果たす役割もまだまだ多いと言える.

     従って,整形外科看護師としてRA患者が使用している薬物の特徴を熟知したうえで,患者が安心して安全に手術が受けられるように,薬物管理と患者説明を行っていく必要がある.また,日々進歩していくRA手術に対して術後の生活上の注意点について,医師やセラピストから情報を得て患者指導を行っていく必要もある.周術期においてRAのトータルマネジメントを行っていくうえで整形外科看護師の果たす役割は大きい.

  • 洲崎 みどり, 都留 智巳
    2025 年37 巻1 号 p. 40-46
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/06
    ジャーナル フリー

     プレコンセプションケア(以下,PCC)とは,適切な時期に適切な知識・情報を女性やカップルを対象に提供し,将来の妊娠のためのヘルスケアを行うことである.本邦では,国立成育医療研究センターホームページにおけるプレコン・チェックシート(図1)に,食事や運動,嗜好品,規則正しい生活習慣などの項目があり,様々な視点から現在の健康状態を確認しうる.しかし,このシートは疾患固有のものではなくPCCの基本であるため,このチェック項目を基に,RAでの患者指導を検討していく必要がある.RAの場合,RAを発症し,特にMTXで治療を開始する場合は,避妊の指導とともにPCCを行うことは有用であると思われる.また,治療継続中,結婚や妊娠を検討する時期,あるいは第1子出産後,第2子以降の妊娠を検討している時など,繰り返しの指導が重要である.本邦は晩婚化,晩産化傾向にあり,所謂「高齢」で妊娠を望む場合は,不妊治療の併用も検討しなければならない.WoCBA世代のRA患者へのPCCのタイミングは,十分なコミュニケーションを図り,信頼関係を築いた上で,患者のライフステージにやイベントに合わせて行うことが重要と思われる.

  • 竹本 美由紀
    2025 年37 巻1 号 p. 47-54
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/06
    ジャーナル フリー

     本邦の高齢化に伴い,遅発性関節リウマチ(late-onset Rheumatoid arthritis: LORA)の患者数が増加しており,当院でもLORAも多く,慢性炎症性関節炎の患者が高齢化している.高齢の独居という環境が男女ともに増加傾向にあり,多くの高齢者が薬物療法を受けている.疾患コントロールを行うためには,医療従事者は患者や家族と十分なコミュニケーションを通して個々の背景を理解し,高齢者の疾患や治療内容の理解度を知ることも重要である.また,薬物療法と並行して行う症状緩和や改善,QOLの維持に向けた援助において,多職種との連携や各専門職や家族へつなぐことも必要である.高齢RA患者に対しては,加齢による身体的・精神的・社会的な変化に加え,高齢RAやLORAの疾患の特徴も十分理解し,個々に合った高齢RA患者の看護・支援が求められる.

原著
  • 小池 達也, 興田 大地, 神山 敦子, 小山 朋子, 宮路 典子, 山本 真紀, 田中 美代, 尾崎 伸次, 岡野 匡志, 山根 悠
    2025 年37 巻1 号 p. 55-65
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/06
    ジャーナル フリー

    目的:我が国のように多数回の新型コロナワクチン接種を受けた際に,関節リウマチ(RA)患者の抗体価上昇に関与する因子は充分に明らかとはなっていない.そこで,RA患者と年齢と性別をマッチさせたコントロール群の抗体価を比較するとともに,抗体価に与える各種要因の影響を検討した.

    対象と方法:RA患者446名とコントロール群30名を対象にヌクレオチド(N)およびスパイクタンパク(S)抗体価を測定し,ワクチン接種回数・接種日時・使用薬剤などを調査した.両群間の比較及びRA群では使用薬剤の影響も検討した.また,S抗体価を従属変数とした重回帰分析も行った.なお,新型コロナ既感染者と新型コロナワクチン非接種者は解析対象から除外した.

    結果:RA群(中央値8.58[四分位範囲7.56,9.35]U/ml(自然対数変換))とコントロール群(8.83,[7.98,9.49])間にS抗体価に有意な差は認めなかった(p=0.472).RA患者では,加齢とともにS抗体価は上昇し(Spearman順位相関,ρ=0.158,P=0.004),高齢者においてワクチン接種回数は多い傾向にあった.ワクチン接種回数が増すとS抗体価も有意に増大したが,4回でプラトーに達していた.プレドニゾロン使用者で非使用者に比してS抗体価は有意に低く(P=0.023),分子標的薬使用者では非使用者に比して抗TNF(Tumor necrosis factor)製剤使用者が有意に(P < 0.001)低いS抗体価を示した.重回帰分析の結果では女性であること・最終ワクチン接種日からの日数・bDMARDおよびプレドニン使用がS抗体価に与える有意な要因であった.しかし,メトトレキサート(MTX)使用の影響は認めなかった.

    結論:bDMARDs(抗TNF製剤)およびプレドニゾロン使用RA患者ではワクチン接種後S抗体価上昇は抑制されたが,MTX使用の影響はなかった.

feedback
Top