目的:悪性腫瘍を合併したRemitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema(RS3PE)症候群患者9例の臨床的特徴をまとめ,RS3PE 症候群と悪性腫瘍の関連について検討した.
対象および方法:2005年11月から2010年10月までに当院および関連病院で経験した悪性腫瘍合併RS3PE症候群患者9例について,後方視的に臨床症状ならびに検査成績,治療方法について調査した.血清マトリックスメタロプロテアーゼ3(MMP-3)濃度の測定は,ELISA法で施行した.
結果:男性7例,女性2例.年齢は79歳(中央値,70-87歳).胃癌2例,大腸癌2例,肺癌2例,乳癌2例,前立腺癌1例であった.9例中8例はRS3PE 症候群発症前後2年以内に悪性腫瘍が出現していたが,そのうち3例はRS3PE 症候群発症1か月以上前に,3例は発症前後1か月以内に,2例は1か月以上後に悪性腫瘍を合併していた.血清MMP-3濃度は455.3ng/ml(107.9-761)であった.プレドニゾロン(5mg~30mg/日)に対する反応は全例良好であった.
結論:RS3PE 症候群発症前に固形癌が出現した症例において血清MMP-3濃度が著明に高値を示していた.