2018 年 30 巻 1 号 p. 15-22
シェーグレン症候群(SS)は涙腺及び唾液腺における外分泌腺炎を中心とし,多種の自己抗体価の上昇を伴う全身性の自己免疫性疾患である.小児SSは希少疾患であるが,症例が存在する地域に偏りがあり,小児リウマチ専門医がいない地域での症例数は少なく,診断されていない症例も多いと推測される.
診断時,成人例は乾燥症状を認めることが多い一方,小児SSでは乾燥症状を認めることは少ない.これは成人例と比べ,小児例では外分泌腺炎が存在する期間が短期間であるためと考えられる.乾燥症状に乏しい小児SSは発熱・反復性耳下腺腫脹・関節症状・皮疹・全身倦怠感等の症状を契機に診断されることが多い.診断にあたっては,血清学的な評価と外分泌腺の評価が必要であるが,後者については,涙液・唾液の分泌量が低下しにくく口唇小唾液腺生検が重要な手がかりとなることが多い.なお,本邦では様々な項目を含有する小児SSの診断の手引きが提唱されている.
現在,外分泌腺炎における免疫抑制療法のエビデンスは明らかではないが,外分泌腺の機能低下前から免疫抑制療法を開始することで乾燥症状を予防できるかどうか等,長期的な経過の検討が必要と思われる.腺外症状の治療については,個々の症例と臓器障害の程度に合わせた加療を行う.ステロイド・免疫抑制薬等による治療が必要となる症例も比較的多い.自験例を交えながら小児SSの特徴と治療について概説する.