抄録
ごみ焼却施設は円滑な都市活動や良好な都市環境を維持するために必要不可欠な都市施設である。しかし,迷惑施設であるごみ焼却施設の整備・建替え事業における住民合意形成は今なお大きな課題である。現在,全国的にごみ焼却施設の老朽化が進行しており,施設の更新・延命化措置の必要性に迫られている。ごみの減量と人口減少の進む自治体では,効率的な施設運営のための適切な広域化・集約化も必要になる。社会環境が大きく変化する中においても,こうした施設の整備を滞りなく進めていくための計画プロセスを危機管理の視点で捉えていくことが重要であると考えている。そのような中,環境省は2018年6月に閣議決定された「廃棄物処理施設整備計画(以下「環境省の施設整備計画」)」において,「地域に新たな価値を創出する廃棄物処理施設の整備」を掲げ,廃棄物エネルギー等の地域でのより一層の利活用を推進している。こうした最近の動向を踏まえ本論文では,ごみ焼却施設の計画段階における住民参加の取組に着目し,今後の望ましい計画策定・合意形成の在り方について報