抄録
本稿の目的は,ポストコロナ期の米中関係における中国のパワー,とりわけ伝統的安全保障パワーと経済安全保障パワーの方向性について分析するとともに,その対応について考察することである。まず,米中のグローバルな競争の方向性について整理し,その上で,中国の目指す世界,中国の伝統的安全保障パワーと経済安全保障パワーについての分析を加えた。そしてその対応として,米海軍戦略の方向性と日米豪印によるクアッド拡大の意義について考察を加えた。中国のパワーが,今後,どのような方向性を示すかを明らかにしていくことは,インド太平洋地域における日本の今後の舵取りを考えていく上で,極めて大きな意義がある。