抄録
寒冷地にある二つのRC床版において,アスファルト舗装下の劣化したコンクリートから試料を採取して,顕微鏡観察や各種分析を行い,その構成物や組成を明らかとした。劣化部は骨材が分離・露出した状態であり,採取試料に多量に含まれる泥状物質は,微細化したセメントペースト片の他,外部から侵入した粘土鉱物やアスファルトなどから構成されていた。また,セメントペーストは炭酸化を受けていないにも関わらずCa(OH)2が消失していた。鉄錆のコンクリート面への付着状況,ひび割れ内へ侵入した泥状物質の様子などから,この劣化には,鉄筋腐食やアルカリシリカ反応によるひび割れ発生が先行し,凍結防止剤成分による化学的な劣化の関与が示唆された。