コンクリート工学論文集
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  • 内海 秀幸, 安田 知弘, 菅 洋志, 鈴木 誠
    2018 年 29 巻 p. 1-10
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/15
    ジャーナル フリー

    セメント硬化体の含水状態に依存した熱膨張係数の非線形特性を明確にする観点から, 硬化セメントペーストを対象として, (∂h/∂T)θで定義される相対湿度の温度依存性に関する係数(Hygrothermic coefficient)を実験的に明らかにした(T:温度, h:相対湿度, θ:含水率)。実験では, 飽和した試料に対するFirst desorptionプロセスを対象として25[℃]と35[℃]に平衡する相対湿度を計測した。相対湿度とHygrothermic coefficientの関係は凸型のプロファイルを示し, 乾燥した試料を対象とした吸着プロセスから評価される結果に比較して, その値は3~4倍程度高い値を示すことが明らかとなった。

  • 浅本 晋吾, 古田 悠佳, 欒 堯, 米田 大樹
    2018 年 29 巻 p. 11-19
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/15
    ジャーナル フリー

    コンクリートへの水分浸透の抑制手法として表面含浸工法などがあるが,ひび割れが生じると抑制が困難となる。そこで,本研究では,撥水材をセメントペーストに直接混入,もしくは105℃で絶乾した細骨材に噴霧することで,構成材料として内部に加え,ひび割れ発生後も内部から撥水性を保持できるセメント系材料の作製を検討した。その結果,市販のシリコーン系撥水材を噴霧した細骨材を用いたモルタルは,表面撥水性を発揮し,圧縮強度は最大で50%程度低下するものの,ひび割れを有しても水分浸透が抑制された。さらに,アルキル変性シロキサンポリマーを主成分とするシリコーン系撥水材を用いると,乾燥後の吸水,乾燥収縮が3か月にわたって抑制できた。

  • 福永 隆之, 武若 耕司, 山口 明伸, 審良 善和
    2018 年 29 巻 p. 21-31
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/15
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,鹿児島県各地に分布するシラスを混和材として利用したセメント系材料の耐塩害性能の評価である。その際,主に,試験前後の生成物の変化や各種塩化物イオン量に着目することにより,シラスを用いた供試体の塩化物イオンとの反応性および塩分浸透特性について明らかにすることを試みた。その結果,シラスを混和した供試体は,塩水浸漬環境下において,シラスの反応率が促進されることを確認した。加えて,塩化物イオン固定化率の上昇および見掛けの拡散係数が低下する結果を得た。これは,シラスを混和することにより,ポゾラン反応生成物が生成され,その水和物によって,内部組織の緻密化および塩化物イオンの固定が起きたためと考察した。また,シラス中の微粒分の含有割合が大きいほどシラスの反応率および耐塩害性能が高いことが示された。

  • 小松 怜史, 田島 涼, 細田 暁
    2018 年 29 巻 p. 33-40
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,コンクリート床版上面の品質を表面吸水試験(SWAT)で評価する手法を検討した。水セメント比,空気量,セメント種類,養生条件の異なる供試体を製作し,SWATで品質評価を検討するコンクリート床版上面(仕上げ面から5mm程度)が十分乾燥していることを現場で判断する方法を検討した。その結果,市販の水分計(Kett社,HI-100)でカウント値が120(電気抵抗値:約2.6×104kΩ)を下回った時に,仕上げ面から5mm程度が十分乾燥していることが分かった。この条件で,SWAT計測開始から100秒間のコンクリートの累積吸水量を用いて,コンクリート床版上面の品質を評価することを提案した。この評価指標は仕上げ面の微細なひび割れによるコンクリートのスケーリング抵抗性の低下を検出することが可能であった。

  • 柳田 龍平, 中村 拓郎, 河野 克哉, 二羽 淳一郎
    2018 年 29 巻 p. 41-54
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/15
    ジャーナル フリー

    繊維補強無孔性コンクリート(PFC)は300N/mm2を上回る世界最高の圧縮強度を有しており,その構造利用によって構造物の薄肉・軽量化が期待できる。本研究では外ケーブル方式セグメントはり部材にPFCを適用した薄肉で軽量なプレストレストコンクリート(PC)はりの耐荷挙動を検討するため,高いプレストレスを導入したセグメントの接合部を有するはりの曲げ試験を行った。その結果,部材断面下縁のプレストレスを20N/mm2から40N/mm2と大きくすることで,はりの破壊モードが変化し,耐荷力が大幅に向上することが確認された。また,非線形有限要素法によって,実験の曲げ降伏耐力を良好に再現できることを確認した。PFCを用いた外ケーブル方式セグメントPC構造は,大きなプレストレスを与えることでコンクリート構造物に使用できる可能性を示した。

  • 笠倉 亮太, 田所 敏弥, 黒岩 俊之, 宇治 公隆
    2018 年 29 巻 p. 55-62
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/15
    ジャーナル フリー

    生産年齢人口の減少に伴う建設技術者,技能労働者の不足が顕在化しており,耐震補強工事においても,生産性の向上が求められている。そこで,筆者らは,施工の省力化・省人化を目的とし,プレキャストパネルと高強度繊維補強モルタルを用いた耐震補強工法を開発した。高強度繊維補強モルタルを耐震補強に用いた事例は少なく,そのせん断耐荷機構は明らかとなっていない。本稿では,本工法のせん断耐荷特性を明らかとするため,補強量を試験変数とした補強梁試験体による実験的検討を行った。その結果,開発した耐震補強工法による梁試験体のせん断耐力の向上を確認し,その破壊性状は,パネルの組立に用いる接続鋼材の降伏を伴うせん断破壊であることを明らかにした。また,補強を構成する各部材がせん断耐力に与える影響を明らかにした。

  • 津田 和明
    2018 年 29 巻 p. 63-73
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/15
    ジャーナル フリー

    鉄筋コンクリート造柱,梁,耐震壁のせん断強度の算定には,コンクリートの圧縮ストラットとその有効圧縮強度を用いることが主流となりつつあるが,接合部に関しては実験の分析より導いたせん断強度時平均せん断応力度に有効水平断面積を乗じる手法を用いることが多い。これは,接合部内の圧縮ストラットの形状を定められないことに起因していると思われる。最近では,接合部の破壊は曲げ破壊であるとし,理論的な精度の良い算定法が提案されているが,設計で用いるにはやや複雑である。この背景を受け,接合部せん断強度の半理論的な算定法を考案した。

  • 今西 直人, 衣川 直紀, 白石 芳明
    2018 年 29 巻 p. 75-86
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/15
    ジャーナル フリー

    本報告は,赤外線サーモグラフィ等によって測定された構造物の表面温度分布に基づいて,その構造物内に存在する変状の位置等を自動的に検出する方法について基礎的な検討を行った。定常信号内の非定常信号の局所的な周期及び方向の特性を抽出するのに有効である2次元ガボールウェーブレット変換フィルタを利用することにより,構造物内の特定の変状に関連した表面温度分布の固有の形状変化を解析的に検出する。変状としてコンクリート構造物内のひび割れを選び,ひび割れを有する構造物の表面温度分布を有限要素解析,実験,及び実測によって求めた。これらのデータを用いて,本検出方法の有効性及び機能を検証した。

  • 野内 彩可, 村上 祐貴, 井山 徹郎, 外山 茂浩
    2018 年 29 巻 p. 87-100
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/15
    ジャーナル フリー

    本研究は,打撃応答特性に基づくコンクリート内部空隙領域の同定を目的として,小型の床版試験体に内部空隙を模擬した人工欠陥を埋設し,インパルスハンマと加速度センサを用いて打撃試験を実施した。この打撃試験結果に基づき,各種欠陥特性が打撃応答特性に及ぼす影響について検討した結果,周波数応答関数(伝達関数)が欠陥領域評価に重要な指標になることを明らかとした。さらに,周波数応答関数を入力値として自己組織化マップ(SOM)に適用することで,欠陥直径が200 mm以上,埋設深さ70 mm以浅の欠陥領域の評価が可能であることを示した。また,本手法を実構造物に適用した結果,実構造物内部の欠陥領域評価においても,その有用性が示された。

  • 井川 倫宏, 玉岡 優児, 細田 暁
    2018 年 29 巻 p. 101-109
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/15
    ジャーナル フリー

    現行の表面吸水試験では,測定結果から得られる10分時点での表面吸水速度を評価基準に用いている。本研究では,3種類の水セメント比のコンクリートを用いた促進凍結融解試験による様々な劣化の程度の供試体に対して,10分時点での表面吸水速度と10分間の吸水量が比例関係を示すことが分かった。これまでに提案されている品質評価のしきい値により,W/Cが55~75%のコンクリートの凍結融解作用による劣化の程度を評価可能であると考えられる。さらに,測定時間の短縮について検討し,1分から10分の間の任意の測定時間において,現行の10分時点での評価と同じ評価結果をもたらす評価指標を提案した。

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