1993 年 22 巻 p. 75-81
千葉県館山市にある東京水産大学坂田実験実習場地先において,1992年4月から1993年4月まで,ヨツハモガニPugettia quadridens quadridensを月ごとに採集し,成長と繁殖について調査を行ない,生活史の概略を推定した.繁殖期は2月から8月で,その期間中に複数回交尾,産卵を行なう.卵は20日前後でふ化し,ふ化幼生は17日前後の浮遊期を経て椎ガニとなる.椎ガニは秋から冬にかけて成長し,翌年2月ごろに成熟する.雌の成熟脱皮は最終脱皮と思われ,その脱皮の際に腹節に第二次性徴が現われる.雄の第二次性徴は鉗脚に現われるが顕著でない.成熟個体は繁殖後,夏ごろには死滅すると思われる.本種の寿命は約1年と推定される.