抄録
イソガニに寄生する新種と思われるフクロムシの寄生状態を天草とその周辺の合計13地点で調査した。寄生率には場所による大きな違いが見られる。外洋的な場所では低く、内湾的な場所では高い。平均寄生率が64.3%に達する地点があった。寄主によっては2個体以上のフクロムシに寄生されている。寄生状態について数学的解析を行った。機会的ではなく、顕著な集中的傾向が見られた。成熟サイズの甲幅15mmを超えると、寄生率は上昇しないので、幼ガニの段階で付着するフクロムシが多いと推定される。寄主の中には最大級の大きさに達しているものが見られ、フクロムシは寄生の生長や寿命にはほとんど影響を与えていないことが判明した。