1995 年 24 巻 p. 69-77
テナガオオホモラの抱卵雌からのふ化による第1ゾエアを記載し,その幼生形質を既知種および同じ原始短尾亜区の各科と比較検討した.本種はオオホモラ属内ではParomola cuvieriと良く似ているが,Aikawa(1937)によるオオホモラのそれとは異なっている.しかしながら後者の場合では再検討を要する形質があり,これを除くとホモラ科のゾエアは2つのグループに分けられる.一方幼生の比較が可能な原始短尾亜区の4科の中で,アサヒガニ科の幼生は真正カニ類に似ている.ミズヒキガニ科のゾエアはホモラ科のものに酷似するが,第2顎脚内股の剛毛配列で区別出来る.これら2科はカイカムリ科とアサヒガニ科の中間的な存在である.