Crustacean Research
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モクズガニの河川における個体群構造 : 成熟サイズの連続的変異
小林 哲松浦 修平
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1995 年 24 巻 p. 128-136

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抄録

鹿児島県神之川でカニかごを用い1985年から1986年に得られた採集結果から,モクズガニのサイズ組成と密度分布並びに性比について,成長・回遊・繁殖参加に関連した個体群構造を推定した.淡水域では上流ほど大型個体の割合が増し,分布密度が低下し,かつ性比が雌に偏る傾向が認められた.また汽水域での繁殖参加個体の性比は全体では雄に,小型個体は雄に,大型個体では雌に偏る傾向が認められた.このことから,淡水域での成長期に雌は雄よりも上流へ遡上する傾向が強く,また繁殖期には雌に偏った少数の大型個体が上流域から,雄に偏った多数の小型個体が下流域から降河して汽水域に達し,それらが混ざり合って繁殖に参加していると推定された.

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© 1995 日本甲殻類学会
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