抄録
風化した花崗岩の斜面表層に発達している微細割れ目を詳細に観察すると、粘土物質が充填している。深い場所にも微細な割れ目は発達しているが、それらの割れ目には殆ど粘土鉱物は充填していない。これらのことは、割れ目に充填している粘土鉱物は地表付近で形成されたことを示している。また、それらの粘土鉱物は割れ目の周辺の造岩鉱物から風化作用により生成したものではないようである。割れ目に他から運ばれて沈殿した可能性が高い。おそらく地表水に懸濁した粘土鉱物が割れ目を通過するときに沈殿したものと推定される。このような粘土鉱物の成因に関して、斜面崩壊の見地から検討する。