P3 湛水土壌中に埋設した水稲根におけるビビアナイトの晶出(ポスター発表,一般講演)

抄録

農地におけるビビアナイト[Fe_3(PO_4)_2・8H_2O]は,水田の下層土中に結核(伊藤1975),水稲根のビビアナイト様物質(和田ら1977),ポット栽培した収穫期の水稲根に板状結晶の集合体(Nanzyo et al 2010)として報告された。また,ビビアナイトの沈殿-溶解特性は還元土壌条件下におけるリン酸イオンの挙動(志賀,1973)を説明するためにしばしば用いられてきた(飯村.2005;Kyuma 2004およびその引用文献)。伊藤(1975)の報告にあるビビアナイトは長期間かけてできたと見られる比較的大きな集合体で,地学的な成因が作用していると見られる。これに対して,和田ら(1977),Nanzyo et al.(2010)の報告は水稲の生育する短期間内の晶出である。そこで本研究では,水稲根におけるビビアナイトの晶出には生育中の水稲根である必要があるかどうかについて、ビーカーに稲を植えた湛水土壌および一般水田作土に前年採取した稲を埋設して検討した。