抄録
イネの人為突然変異誘起処理で短稈突然変異が出現しやすいことは従来から指摘されている。本調査でも対照の80%以下の稈長をもつ個体の出現が多い。これらの短稈個体は従来知られている矮性稲の様々な型に該当するものであり一見して遺伝子突然変異に由来するものが殆んどである。しかしこれらのものが全て遺伝的背景をもつものではなく、染色体異常による当代かぎりの致死的なものが含まれている懸念がある。したがってM_2での短稈個体は次代での検定をまっての論議も必要である。ヱチレンイミンの処理が本調査の如くM_2で高率に短稈個体を出現させる効果をもち、しかも高濃度処理ではM_2系統あたり、ほぼ100%の短稈個体の出現をみたことは、育種目標を原品種の短稈化としたとき特に効果的なmutagenと考えられる。