抄録
ソバは動脈硬化の予防に関わるルチンなどを含むことから, 近年機能性食品として評価が高まり, 水田の転換作物として作付け面積の拡大が図られている.しかし, 過湿土壌適性が小さく, これが水田作付けの制限要因になっている.過湿土壌条件下で生育は初期から抑制され, 節数, 花房数, 小花数が低下し減収する.一方, 湿害は根への酸素供給低下によると考えられ, 通気組織の発達にともない湿害の軽減が予測される.トウモロコシではカイネチン処理によって破生通気組織が形成されることより, ソバでもカイネチン処理によって根の内部形態が変化すると考えられた.そこで本研究では, (1)土壌水分の違いがソバの生育, 小花数および根の内部形態に及ぼす影響, (2)カイネチン処理がソバの根の内部形態に及ぼす影響を調べた.