抄録
本県はバレイショ生産においてジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有し,収量性や早期肥大性に優れる品種「アイマサリ」の推進を図っている.しかし,大玉になりやすい品種特性があるため,小玉が求められる種馬鈴薯生産において規格内収量割合が低いことが課題となっている.そこで,植付け前の種いもに浸漬処理することで塊茎の小粒化が期待できるジベレリンを「アイマサリ」の種いもに処理した場合の効果を検討した.試験の結果,「アイマサリ」の種いもへジベレリン処理を行うことにより,株あたり上いも数は有意に増加した.また,上いも重は無処理区と比較して同等以上を確保し,上いも平均重は有意に軽くなった.種いも規格内収量割合は無処理区と比較して20%程度向上し,種馬鈴薯生産の目標数値である規格内収量割合80%をおおむね確保できた.種馬鈴薯生産者の負担は慣行体系と相違ないことから,「アイマサリ」の種馬鈴薯生産においてジベレリン処理技術は有効である.