Drug Delivery System
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特集 “日本のトランスレーショナルリサーチをどう進めるか” 編集:前田 浩
医薬品開発の現状と今後の課題
齋藤 宏暢藤枝 徹長沼 英夫
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2007 年 22 巻 1 号 p. 65-72

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抄録
新規医薬品の開発が全世界的に停滞している現状を鑑みると,適切な候補化合物をいかに効率よく創製し,臨床stageでの中止リスクを軽減しつつ迅速に開発を進めるためにはどのような検証が必要なのか,長年にわたり拠り所としてきた半ば定型的な臨床開発プログラムについて真剣に見直す時期にきている.たとえば,海外の規制当局で許容しているマイクロドージングのような探索的な臨床試験は,創薬の初期段階で薬物動態特性を見極めるための有用なツールである.
 また,これまで国内の臨床試験だけでは安全性と有効性を検証するうえで例数的に不充分な場合が多かったが,国際共同治験への参加は海外データを相互に利用することを可能とし,医薬品としての特性を系統的に評価するうえできわめて重要であり,日本でもグローバル基準の臨床試験が出来るインフラの早急な整備が必要である.この際,症例がとりやすい欧米ばかりでなく,アジア各国の実施動向を睨みながら日本にあった参画条件を模索すべきである.
 さらに,承認申請までの限られた評価に過度な時間と経費をかけるのではなく,ICH-E2Eガイドラインを考慮した製造販売後の調査や,臨床試験を通して幅広い患者に適用したときの安全性と有効性を,計画的に追加検証する施策が重要である.
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© 2007 日本DDS学会
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